「シズカ、紹介するよ。ゴーシュ・スエード。最近新しくBEEになった新人だ」
「よろしくお願いします」

 一目でアルビノ種だと分かった。綺麗な髪の色。やけに気取ったサービススマイル。別に媚びられても、私から手に入るものはなにもないのに。
 なにも言わずに書類を机に置いた私に、館長は困ったような顔をした。

「悪いね、静かな子なんだ」
「いえ、とても…その、綺麗な方ですね。館長、彼女は何時頃からBEEを?」
「シズカに実際に聞いてごらん」


***


「あの…シズカさん。貴方は何時頃からこの仕事をやっているのでしょうか?」
「教える義務はない」
「ええ! でも、先輩のことは知っておきたいものですよ、」
「貴方、今いくつ?」
「14、ですけど」

 思わず笑いがこみあげた。

「私、同い年よ。貴方と」

 ゴーシュ・スエードは大変に驚いた顔をして、
 キリっとした顔をすぐに崩して、ふにゃりと笑った。

「やけに老け…大人びているのですね」
「よく言われるわ。でもBEEを始めたのは貴方よりずっと前。10の時ね」
「そんな小さな頃から……鎧虫と戦っていたのですか」
「ええそうよ。そうなの、私はハチノスの下に捨てられて、BEEとなるために生きて_」

 やけに喋りすぎたと思った。私が会って間もない少年にこんなに気を許すなんて可笑しい。

 急に話を止めた私にゴーシュ・スエードはまた気の抜けた笑いをして、

「シズカさんが話したくないのであれば、それで結構ですよ」


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