予定通り部活の前に花は到着し、部室から少し離れた教室に隠した。今日はいつもより早めに部活が切り上げられ、残りの時間で引退式を行うことになっている。
柔軟から始まったいつもと変わらない部活。しかし、跡部部長の注意が飛ぶようになってから、涙ぐむ部員がちらほらと出始める。今日でこの声を聞くのも最後。そう思うと、自然と身は引き締まるのだろう、段々と、注意する声は減っていった。
柔軟や素振りを追え、レギュラー陣とそれ以外の部員で分かれた練習が始まり、コートへ移動していると、
「日吉!」
ジャージ姿のシズカさんが手を振ってきた。
少し走ってきたのだろう、軽く汗をかいている。手にはラケットを持っていて、今日は試合を付き合ってくれるのだということが分かった。
「どこのコートが空いてるかな?」
「今一番コートを使おうと思ってました」
「そっか。じゃあそこ行こう」
シズカさんはもうすっかり部活での態度に戻っていて、俺にとってただの先輩でしかなかった。日吉、と呼ばれたのもなんだか久しぶりで、変な感じがした。
「跡部部長とは、良いんですか?」
「跡部とは日吉の後にやるから」
さらりと言われたが、それは暗に俺との一戦はシズカさんにとってそこまで苦にならないということだ。これには、さすがにムッとしてしまう。
「今日こそ下克上しますよ、先輩」
「ふふ、やれるもんならやってみな」
試合は向こうのサーブから。長身を生かした重くて速いサーブは、中学の頃から目の当たりにしてきたからこそ、その恐ろしさをよく知っている。でも俺だって、遊んでいたわけじゃない。真正面に飛んできたボールを受けきって、返す。強く跳ね上がったボールは金網にぶつかって派手な音を立てた。
「……へぇ、強くなったね、日吉」
「貴方こそ年をとって、衰えたんじゃないですか?」
「じゃあ次は、ちゃんと打つね」
上げられたボールが、高い打点で振り落とされる。瞬きを、している暇も、ない。ヒュッという音がした後、隕石のようにボールがコートに叩きつけられた。ギュルギュルと強く回転しコートに跡が残る。身体がまったく反応をすることが出来なかった。
ボールを持ったシズカさんが、不適に笑った。
Q,何をしたかったんですか?
A,先輩が引退して寂しい日吉を書きたかった
Q,なぜボツになったんですか?
A,主を絡めたことで話が長くなりぶっちゃけ試合描写に飽きました 普通に小説として書けばよかった