泳ぎが得意、というのは五年経った今では大したことではなくなってしまったね。
 スマートなやつらが蔓延るこの世界で、君は君の持つ最大の能力を私のために発揮してくれていたと思う。
 たくさん傷つけて、ごめんね。
 君と一緒にいる年月を人に話すたび、私はとても誇らしかった。だって君はとても強くて、私から離れることは無いように思えたから。
 君との別れなんて、考えても無かったから。

 君の身体にガタが来ているのは手紙で知っていたけど、臓器さえ取り替えてしまえば大丈夫だなんて、私は思っていたんだ。だって君と過ごした五年間、君はずっと元気なままだったでしょう。

 思えば昨日は、予兆だったんだね。まるで、死期を悟った猫が姿を消すような。
 私は君の身体に小さく包帯を巻いて、それで大丈夫な気になっていた。
 気づけなくて、ごめんね。
 君は今日も、苦しかったと思う。

 お別れは寂しいけれど、君のことはきっと忘れない。
 たくさんの希望を叶えてくれて有難う。
 五年間、確かに君は私の一番のパートナーだった。



 2012/08/11 W52CAに捧ぐ。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -