不純な理由だと自分でも心底思うが、私が憲兵団というエリートへの道を捨て、調査兵団への配属を希望したのは、リヴァイ兵士長という存在があったからこそである。壁の外へ悠然と向かっていくその姿を、人ごみを押しのけて見つめて、いつかあの方に仕えたいと思ったのだ。
 夢を叶えるための努力など惜しまない。女子であることのハンディは全くなく、むしろGへの抵抗力は利点になるほどだった。立体機動で宙を舞い、巨人を模した人形の肉を削ぎ落とす。



 願を掛けた前髪は鬱陶しかったが、今日、ようやく夢がかなった。この髪ともおさらばだ。私は前髪を短く切った。視界がクリアになった。

 軍服に着替えたらすぐに集合だという。配属の部隊を発表されるようだ。すぐにリヴァイ兵士長の直属、は絶対に無理だろうけど、きっとそこにはリヴァイ兵士長もいらっしゃるはずだ。間近で見られるだけで、浮き足立ってしまいそうで怖かった。
 周りに遅れをとらぬよう、すぐさっきの整列に戻ると、遠くから人影が二つ、歩いてくるのが見えた。きっと__あれは、リヴァイ兵士長と、エルヴィン団長だ。隊列の前で談笑を交わしているのは分隊長だろうと思う。やがて二人が到着すると、緊張の糸がピンと張られた。私は既に泣き出してしまいそうだった。
 ようやく、ようやく__この方と同じように働ける。この方のために働くことができる。

 伏せていた顔を、前へ向けた。距離は__1mもない。
 鋭い眼差しと目が合った。


 時が止まったように、リヴァイ兵士長は視線を逸らさなかった。


( 20110420 )
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -