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約束


自分の戦闘を終え合流場所に戻ったら、敵に嫌そうな顔を向けて戦っている彼がいた。

イミテーションでも元の姿の持ち主に似るのかしつこいようだ。
オリジナルでさえ銀髪靡かせて鬱陶しいのに、イミテーションの仕様も相まり全体的に煌びやかで余計に陰鬱に感じる。
顔は美形なのに、あの執拗さで台無しなんじゃないか。

そういえば以前遭遇した時、こちらを少し見て鼻で笑われたことを思い出した。
それが容姿のことなのか技量のことなのか判断つかないけれど、どちらにしても腹が立つ。
あんなのに付き纏われて彼も大変だ。
そんなことを思いつつ援護しようとしたが、男の戦いに水を指すのも野暮だと傍観することに決め込む。
重そうな大剣を軽々と操っている。
相手は所詮、紛い物。
華麗な剣技で止めをさした。


「イミテーションにまで好かれちゃってるねぇ」
「アレはもはや嫌がらせの域だ」

心底嫌そうに息をつく。
今日だけでもう4体目の対戦だったという。

「心中察するよ、クラウド」

自分だったら神経衰弱して殺られる事間違いない。
苦笑を浮かべ、励ますように彼の肩に手を置く。
するとふいに手首を掴まれ、肩から離された。
触れられるのが嫌だったのだろうか、思わず謝る。

「いや。汗かいてるから……」

触らない方がいいとクラウド。
そんなのはお互い様なのだが、本人が気になるのならしょうがない。


「腕、細いな」

掴んだ腕を見ている。
細く見えるクラウドだが大剣を装備してるだけあって、結構筋肉質だ。
こちらも剣を振り回しているとはいえ一応女。
男と一緒にされても困る。

「こっちは素早さで勝負だから」
「でも、こうやって捕らえられたら敵わないだろ」
「そりゃそうだけどさ…、とりあえず離してよ」

強く掴んでいるのか、少々痛い。

「11、俺は」

腕を振り解き、彼の顔を見つめる。
過去、彼の仲間が目の前で倒されてしまったことは聞いている。
自分のせいでまた彼に新たな心の傷を付けさせるわけにはいかない。

「大丈夫だよ。掴まりそうになったら全力で逃げきってみせるから」
「11」

これから幾度となく危険なこともあるだろう。
でも自分がそうなるとは限らない。

「まぁ、それでも危なくなったら助けにきてくれるとありがたいかな」

あのしつこさで迫られたら判らないからね、と戯れに付け足す。

「わかった。約束する」


近い将来、彼がアイツの呪縛から逃れられるよう共に戦っていこう。

-end-

2009/4/18




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