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関心4


「お陰さまで眠いんですよ」
「わかっている」

11の腕を捕り、長い廊下を歩く。

「ホントは偵察行きたいんですよ?でもほら、寝れなかったわけで。セフィロスさんのせいで」

そう腕を引っ張られながら不満げに喋る11の口調は眠たそうである。

「それを言うのならお前が眠らなかったお陰で、私も眠っていないのだがな」

昨夜、あらぬ考えを抱きながらセフィロスの部屋へと侵入してきた11。
少しからかいでもして、それから追い返そうと最初は思っていたのだが、思いがけない格好で現れた11の姿にもう少し相手をしてやろうと寝具に引きずり込んだ。
こちらには触れぬよう、大人しく眠るよう約束させて。

最初は言われたとおりに大人しく目を瞑っていた11だったが、セフィロスに見られていることに緊張して眠れないのか寝返りを打ってみたり、文句を言ってきたりと徐々に落ち着きがなくなってきた。
そんな11を眺めながら時折返事をしている自分も大概暇なものだと思いながらも、観察すること数時間。
セフィロスの視線にも慣れてきた夜明け前、漸くウツラウツラとしてきた11になんとなく、いたずらを仕掛けた。
その後、なんとも言い様の無い悔しそうな顔をしながらセフィロスの部屋を飛び出していってしまったのだが。
間を置いて11の部屋に訪れたみるも、戻っていると思っていたそこには部屋主は不在。
そうなると11の居場所といえば、よく雑談の相手をしているジェクトの元だろうと足を運んでみると案の定彼の部屋にいた。

行動は大雑把であるが気のいいジェクトに、11は懐いている。
親子ほどの年齢差はともかく、この気難しいカオス陣の中、11にとってそんな彼は気の置けない友人といったところか。
だからあのままジェクトの部屋に置いていってしまってもなんの躊躇いもなくあの場で眠りについていたと思う。

11がどこで何をしていようがセフィロスには関係ない。
関係ないのだが、なんとなく癪に障る気がしてこうしてあの部屋から引き連れてきた。


「じゃあセフィロスさんも眠いでしょ。だから今日は1日お休みってコトで…」

休息を訴える11の言葉が、セフィロスの歩と同じくして止まる。
立ち止まった先はセフィロスの自室前。
扉とセフィロスの顔を交互に見やり、11は首を傾げた。

「えー、ここは喜ぶべきところなんでしょうけど、今は眠いので遠慮したいというか」
「何を勘違いしている」

そう眠気に揺れている11の頭を鷲掴みにして、部屋へと押し込む。
扉を閉め、そういえばジェクトの部屋の扉を壊したままだったことが一瞬セフィロスの脳裏を過ったが今更かとすぐに消えた。
押されて入ったセフィロスの部屋にて、何が起こるのか、どうしたものかと頭を捻っている11をセフィロスはベッドへ行くよう促す。

「え、だって」
「あの男のところで寝られるよりはマシだ」

ここで休むよう告げると不思議そうな顔を向けてきたが、言われるままにベッドに潜り込んでいった。
寝具に包まり深く呼吸をし始めたが、大方匂いでも嗅いでいるのだろう。
そんな11の行動が少し気味悪いが、次いでセフィロスもベッドに乗り上げる。
それに気がついた11の動きが止まった。
また監視されるのだろうかと恨めしそうにセフィロスを窺ってくるが、構わず寝具を体に掛け横になる。

「私も眠っていないと言っただろう。一眠りするから、お前もサッサと眠るといい」

そう腕を伸ばして11を背中越しに抱きしめる。
驚きに振返ろうとする11を阻止するように片手で11の頭を抱え込み、セフィロスは目を瞑った。
別に寝顔を見られることが嫌だということはないのだが、甘んじて11を喜ばせるのもつまらない。

「また緊張して眠れない気がするんですけど」
「それはお前の勝手だ」
「ですよねー」

11は自身の腰に回されているセフィロスの腕に手を添えて、憂慮気に溜息を吐いた。
そんな11の様子を面白いものだとセフィロスは思う。


「あれ。私、ここで寝る必要無くないですか?」

寝具に包まり、今更ながらに11が疑問を投げかけてきた。

「それともあれですか。セフィロスさんたら、甘えん坊さんですか?」

それなら最初から言ってくれればいいのにーと見当違いなことを言い出した。
甘やかすとすぐにこうして調子に乗ってくる。

「…さぁ?どうだろうな」

そう応えてみると、11の体が硬直した。
11の予想していた返事とは違う言葉が返ってきたことに、どうやら動揺しているようだ。
全く飽きのこないやつだとセフィロスは思う。

「…んー…、そんなこと言われたら、期待しちゃうじゃないですか」
「それもお前の勝手だろう」
「ですよねー」

じゃあ、前向きに捉えておきます、と11は力を抜いてセフィロスに体を預ける。
目を瞑り、漸く眠る気になったようだ。
だいぶ眠たがっていたのもあってか、瞬く間に寝息が聞こえてきた。


自分の気の向くままに、時に冷たく11をあしらってみても、それを嫌がることもなく貪欲にセフィロスを求めてくる姿に関心があるといえばいいのか。
だから偶にこうして甘やかしてみたりする。
そうすると嬉しそうな顔を向けてくるのだが、そんな11の顔を見るのも悪くはないと思い始めてる。
だいぶ11に感化されてきているのかもしれない。
そう考えれば、ジェクトの部屋で眠りにつくことが癪に障ったのも納得できる。
だからといってわざわざそんなことを11に告げる気もないし、仮に告げたところでセフィロスから11への態度が激変することもありえないのだが。

(それでも、11は追い求めつづけてくるのだろうか)

不意にそんな思いが頭を過った。
しかし一瞬にして拭い去る。
考えるのも馬鹿らしい。
こちらから離れていくことはあっても、11から去るようなことはないだろう。
あんなに悔しそうな顔をしていたのに、今またこうして自分の腕に治まっているのだから。

11の体を軽く抱きしめ、髪に顔を埋めると甘い香りが鼻腔をくすぐった。
自然と綻ぶ口元を自ら感じ取りながら、セフィロスもまた眠りに落ちていく。

-end-

2010/1/27




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