”同断” ”CC連載” 小話
7月6〜8月31日分
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1.※短 ”同断” 小話。
”後で続き、話に行くから”
そう言葉を残してクラウドがバッツの後へと続いて行った。
でも、続きなんて別にいらない。
同じ想いを抱いていたんだってわかっただけでもこんなにも心が軽くなったのだからそれだけで充分だ。
悩んでいたのが馬鹿らしくなるほどに晴れ渡った胸の中。
セシルがなんで事の事情を汲んでいたのかは少しばかり不思議だけど、彼のおかげでこうもスッキリとした日が訪れたのだからそこは深追いしないでおこうと思う。
そんなことを思っているうちに、早々にクラウドが戻ってきた。
バッツとの対戦は終わったのだろうか。
それにしてはあっという間なのだけど。
「もう終わったの?」
そう尋ねるとすぐに頷き返してきた。
「バッツもまだまだ詰が甘い」
ものまねで人の技を習得したところで、それに変化をつけなければオリジナル自身の繰り出すものに勝てるわけもないだろう、と呆れたように溜息を吐いた。
確かに、クラウドの言うことも一理ある。
ものまねはあくまでものまねであって、それをなんの工夫もなしに本人に仕掛けたところで技を熟知しているオリジナルがその盲点を付けないことなんてない。
逆にアレンジしてこそバッツのものまねが活きてくるということなんだけど…。
「あれだな。喜び勇んで、そこまで頭が回ってなかったんだろうな」
「あぁ、バッツだもんね…」
そうふたりで苦笑を零す。
なんか、久しぶりにクラウドといつものように話せている気がする。
ほんのさっきまでは気まずい雰囲気だったのに。
そう思うと余計にとても無駄な時間を過ごしてきてしまったのだと、今更ながらに恥ずかしい。
「約束」
「あ、うん」
クラウドに声をかけられ、顔を上げる。
「俺も、あんたが好きだ」
「うん。ありがとう、クラウド」
そのクラウドの言葉に、まるで填まってしまっていた長い長い落とし穴から脱出することができたような、そんな気がした。
◇
2.※CC連載 小話。
「あ?引越し?」
「うん、そう」
ここは神羅ビルの社員食堂。
2ndになってから親しくなった仲間カンセルと、少し遅めの昼飯を摂りにきていた。
なかなか懐に優しいこの社食は、値段もさることながら味もあいつのところと遜色ない。
IDカードを提示すれば翌月の給料から天引きしてくれるし、便利だ。
ただ閉店するのが夕方5時と、パートのおばちゃんたちを考慮したものだからそこだけが不満だけど、それはそれであいつのトコにいけばいいだけのこと。
今日のメニューはスタミナ定食と決めて、番号札を持って空いてる席を探す。
「最初のさ、オリエンテーションで言ってただろ?」
家賃の半分は神羅が負担してくれるのだという話。
そう教えれば、カンセルはそんな話もあったなと思い出したようだ。
「申請してたのか」
「とーぜん」
そういうとこだけはしっかりしてるよな、と言うカンセルに他はどうなのかとツッコミをいれようかと思ったけどそれはまぁ置いといて、だ。
引越し先が見つかったから、手伝ってもらえないか頼んでみる。
「荷物自体は少ないんだけどさ。やっぱ重いものってあるだろ?」
一般の友人に頼むことも考えたけど、そこはやっぱり鍛えられた体を持った自分たちとは力の差は歴然で。
「そんなの引越し屋にでもまかせとけよ」
いやいや、それはなんだかもったいない。
節約できるところは節約しないと。
「おまえ、なんか使い道間違ってないか?」
そう呆れながらも、まぁいいかと手伝ってくれることを了承してくれたカンセルに感謝を伝える。
「あ、それと、もしかしたらもうひとり来るかもしれない」
タイミングが合えば紹介するよ、となんとなく言ってみればなぜか喰いついてきた。
「え、なに」
「もしかして、女か?」
女といえば女だけど。
カンセルがなにやらいろいろと窺ってくるけど、あいにくカンセルの期待しているような関係は彼女と自分の間にはない。
「会ってみればわかるよ。ホント、面白い子だからさ」
そう曖昧な返事をして、呼ばれた番号札を片手に食事を受け取りに向う。
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