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”告白” ”思惑” 小話

3月2〜4月5日分




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1.ティーダ短話 ”告白” 設定。


「ティーダ。さっきの行動は浅はか過ぎる」
「うーん。…ゴメン?」

なんでそこで疑問系な返事なのかと、益々彼女に怒られている。
反省はしているような顔振りではあるけど、どことなく嬉しそうなのは俺の気のせいだろうか。
元気がいいのはティーダのいい所だし、無茶振りに肝を冷やされる思いもするがそれも含めて彼というものだ。
彼女もそれを判っているだろうに。
日頃、鬱陶しそうな顔を向けているわりには、ああして何かとティーダに構っているし。
なんとなく放って置けない気持ちもわかるが。
実際、彼に好かれて悪い気はしないのだろう。
誰をも惹きつける、明るさをもった男なのだから。

あぁ、やっと説教が終わったらしい。
これを彼女に返してしまわなければ。

「助かった。ありがとう」

そう召喚石を手渡す。

「もういいの?お役に立てて良かった」

そう、僅かに笑みを向けてきた。
ティーダにも、こんな笑みのひとつでも向けてやればいいのにと思う。
見る限りでは、叱っているという状況ということもあってか彼に対していつも険しい顔を向けているから。
その光景が、何かを思わせるのだが…。

「あぁ」

閃いた映像に、声を漏らす。
その不意に漏れた声に、彼女が首を傾げてきた。

「アンタとティーダ。まるで、飼主と犬みたいだな」

感じていた既視感。
まさしくこれだ。
怒られても怒られても、何度となく彼女に寄っていくティーダ。
キチンと躾をするように、ティーダを窘める彼女。

「え…クラウド、それは…」
「いいんじゃないか。それはそれで、息があってるようだし」

困惑そうな表情の彼女にそう告げる。
別に悪い意味で言ったんじゃない。
ティーダと彼女なら、そういう関係でも悪くはないんじゃないのだろうか。







2.フリオニールside ”思惑” の皇帝。


あの小僧を意のままにしているという女がいるとの情報に、わざわざ自ら足を向けてやったというのに…。
なんだ、この小娘は。

「うわ〜、なんですかこのマントの柄!」

捕えられているという立場にも関わらず、背後に回り込んでマントの背面を覗き込んできた。
それに飽きたかと思えば、人の腕を触り筋肉の付きが甘いなどと戯言を抜かしてくる。
まったくもって失礼極まりない。
人を誰だと思っているのか。

「小娘。いい加減にしろ」

あまりのレベルの低さに、拘束もなにもしていなかったのだがこうも鬱陶しいモノだったとは。
情報も、所詮噂でしかなかったのか。
いくら憎い小僧といえども、こんな小娘を相手にしている暇などないだろう。
奴等をおびき寄せる捕虜にする価値もない。

「あ。でも金ピカは素敵ですよ〜、眩しくて」
「当然だろう。これこそ高貴なる者の身に纏うに相応しい装飾だとは思わないか」

知能の低い、馬鹿な小娘だと思っていたがなかなかいい趣味をしているようだ。
すごい、キラキラしい、と賞賛の言葉を称えてくる。
だが、相手をしているうちに少々精神的に疲れてきたのは気のせいか?
まさかそんなことは在りえない。
この私がこのような小娘に精神的疲労を感じることなど。

懐より、ひとつの固飴を取り出す。

「え、くれるんですか?」

そう首を傾げて尋ねてくる小娘に頷いて返す。
それをやるからさっさとここから去れと促せば、嬉しそうに礼を述べて帰っていった。

もっとマシな女だったら、あれを使ってと思っていたのだが…。
せいぜいあれで小僧を誘惑してみるといい。
そうあって、価値ある捕虜に相応しくなったときには再び捕えに向ってやろう。




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