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年末ネタ 小話

12月24〜1月5日分
※たまには季節ネタ第二弾 小話。




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1.”関心” ジェクト


「なにやってんだ?」

いそいそと机に向かい、手を懸命に動かしている。
人が来たことにも気付かないほど集中しているようだが、小娘如きにシカトされるのも腑に落ちない。
だから覗き込むついでに聞いてみた。

「御覧のとおり、年賀状です。ジェクトさん書きました?」
「いや。書いてねぇな」
「日頃、お世話になった方には送らないとですよー」

常識常識ーと、再び手を動かし始めた。
コイツから常識を説かれる筋合いはない。

「…で、誰に出すんだ?」
「もちろん、セフィロスさんです」
「あー…そうだな。世話になってるもんなぁ…」

こんなところで変に常識ぶらず、常に節度ある態度で接していればアイツも少しはまともな態度で返してくれるんじゃねーのかとは思うが…。
まぁ、年賀状書いてる姿が珍しく真摯に見えるから良しとするか。
それにしても。

「ムダに上手いな」
「ムダは余計です」

覗き込んだハガキに描かれた絵柄。
勇猛果敢な虎の姿。
妙にリアルで送られた方は些か引きやしないだろうか。
ジっとその絵を眺めていると突如振り向いてきた。

「あ、ちゃんとジェクトさんにも送りますからね」

楽しみにしててください、そう言い笑顔を向けてくる。

「…おぅ」

その笑みに、少女の頭をグシャっとひと撫でして、返事の一枚くらい書いてやるのも悪くないと思うジェクトだった。







2.短 バッツ


年末といえば大掃除。
そんなわけで、日頃さっぱり片付けをしていないバッツのテントに篭って掃除をしているのだけど。

「うーん。どうしたものかね、コレ」

手に持つモノは、男の聖書。
所謂”エッチな本”。
健全な男なんだからこういったモノの一冊や二冊当たり前なのはわかるけど、今日こうして自分が掃除すると知っていて隠すこともしないのはどうかと思う。
でも見つけてしまったのは仕方が無い。
問題はどこにしまうかだ。
さり気なく元の場所に置こうにも、果たしてどこから出てきたのか判らない。
ここはお約束で、ドーンと枕元に置いとこうか。
それとも彼女然として没収とするか。
はたまた、どこか適当な所にしまっておくべきか。

「お宝ざくざくーっと、手伝うぞー」
「うわ、バッツ」
「ん?」

コロシアムから帰るなり、テントに入ってきたバッツ。
エロ本片手に、立ちつくしている自分。
目が合ってしまった。と同時に

「おぉっ、その本!」

ずかずかと傍に寄ってきて本を取り上げられた。

「コレ、探してたんだよなー。ありがとな!」

そう満面の笑みを向けてくるバッツ。
いやいや。
こういう時って慌てて隠すなり、仮にも彼女なんだからこういう本を所持していたことに対して弁解するなりするもんじゃないの?
しかも見つかって喜んでいるし。

(まぁ…バッツだしな…)

呆れとも諦めともつかない溜息をひとつ吐く。
来年もこんな調子でいくのだろうか。





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