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クリスマスネタ 小話

12月1〜23日分
※たまには季節ネタ 小話。




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1.災難フリオ


あいつに呼び出されて、テントの前までやってきた。
声を掛けたら、少し待てと言われて待っているのだが…。
遅い。
いつになったら入れるんだ?

「おい、まだか?」

何の用なのやら。
彼女のことだから、相変わらずどうでもいいことなのは察しが付くが、ついつい足を運んでしまっている自分にため息を吐く。

「入っていいですよ〜」

いつも通りの気の抜けた声。
呼ばれて幕を捲って中へと入る。

「じゃじゃ〜ん!どうです、この衣装!」

一瞬目を疑う。
なんだ、コレは。

「世間では、12月といえばコレでしょう」

自信満々に胸を張っている彼女の衣装。
あぁ、確かに12月といえばそうだな。
クリスマスだ。
クリスマスの衣装といえば真っ赤な、

「…鼻だな……」
「でしょう!がんばって作ったんですよ〜」

自信作です!とご満悦だ。
なんだろうな…このガックリ感は。
一般的には、こういうときには真っ赤なコスプレサンタがお約束じゃないのか?
こう、なんというか、肌も露的な…。
彼女が身に纏っているものは、茶色の全身タイツに頭にはツノ。
顔には自信作という、真っ赤な鼻。
所謂トナカイだ。

「萌えました?萌えたでしょう、トナカイ!」

もはや意味不明。
こいつは俺に何を求めているんだ?
彼女に、一般的なモノを求めてはいけない。
いけないとはわかっていても、どこか哀愁漂うフリオニールだった。







2.mainウォーリア


世の中クリスマスムードに溢れているようである。
クリスマスといえば、本来の目的はさて置いて、家族や恋人・友人などと豪華な食事を楽しんだりプレゼントを渡したりと有意義なひと時を過ごすものだと認識している。
やはりここは、彼女と特別な日を過ごせるよう配慮すべきなのだろう。
こんな異界の中とはいえ、年頃の少女ならそういうことにも夢を持つものなのだろうし。
そう思い、早々に用意した彼女への贈物。
用意するのに些か手惑いはしたが、思っていた通りのモノが準備できて満足している。

「どうだろうか」
「あの、えぇと、美味しいです」

彼女に贈ったものは、甘いケーキ。
所謂クリスマスケーキというものだ。
無理を承知にも連日念を送ってコスモスに用意してもらった。
そしてもうひとつ。

「…やっぱり、着なきゃダメですよね…?」
「うむ」

普段彼女の服装といえば、肌を晒すことなどは無い。
いくら素肌を知る仲とはいえ、それはそれ、これはこれである。
見えそうで見えない所に、浪漫を感じるものだ。
ケーキを食べ終え、頬を染め、戸惑いながらも衣装…(サンタコスプレとでもいうのか)を片手にテントへと入って行く。
こんなに心が弾むのはいつ以来だろう。
自分らしくはないと判っていても、楽しみで仕方が無い。
さぁ、どんな姿を見せてくれるのだろうか。





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