明日、あの人と一緒にいられますように
隣に眠る彼女の手を握る。
彼女の心は脆く、危い。
その身に宿す、強大な魔力とは相反するかのごとくに。
自身の力に恐れをなして、仲間を傷つけてしまうのではないだろうかと怯えている彼女を誰か助けてあげることはできるのだろうか。
自分がそう在りたいとは思うけれども。
「…ん…あれ……まだ、起きてたの…?」
そう彼女が薄く目を開く。
「あ…手……」
「うん?あぁごめんね。なんか繋ぎたくなっちゃって」
「ん…ありがとう。わたしも、なんだか…安心する……」
そうティナがまた目を瞑り眠りに落ちていった。
長い睫に白い肌、そこに注した桃色の頬。
眠る姿はあどけなくて、こんなにも普通の少女なのに。
一歩踏み違えば、彼女はきっと闇に飲み込まれてしまう。
そして、自らの意志もなく、闇の者のいいように扱われて。
きっと、躊躇うこともなく、衝動に身を任せて……。
それを知ってしまった彼女は、あの、はにかんだような微笑を見せてくれることもなくなるのだろう。
心を閉ざして、今以上に己の力に苦しみを強いられて。
……だめだ。
そんなことは、させない。
私も彼女を護るから、どうか。
明日という日も、どうか彼女と一緒にいられますように。
そう、祈るように彼女の手を強く握り締める。
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