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そして空が生まれ変わった



身体を包み込む暖かな温もりに目を覚ます。
…あれ。
私、何をしていたんだろう。
だってここは混沌の渦中で、私は私を見失って、それで意識が途切れて。

身を這うあの冷たさはどこ?
薄暗く冷たい世界に落ちていたはずなのに、今はこんなにも暖かい。

辺りを覆う闇が剥がれていく。
一筋の光が臨もうとしたその時、人の姿が一瞬視界に留まった。

彼女が助けてくれたの?
だって、彼女も混沌を望む者で、世界を闇に還そうと目論む者のひとりなのに。

「ここは、ティナの居るべきところじゃないよ」

そんな声が、耳を掠めた。
でも、それは、私を助けてくれたあなただって。

そう彼女を掴もうと手を伸ばしても虚しく空を切るだけ。
広がる眩しさに、堪らず目を瞑る。
次に視界に入り込んできたのは辺り一面の青空で。

淀みのない、望んでいた世界のはずなのに。
それなのに、なんだか胸を締め付けるこの想いは一体なんなのだろうか。





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