そして世界が枯渇した
光の先に現れたのは辺り一面の美しい草原。
さきほどまでの激戦がまるで夢だったかのように、傷ついた体が癒えていく。
でもここにあいつはいない。
自分の前に姿を現さなくなっても、それでもふと何事もなかったかのように現れるかもしれないと一筋の希望を胸にここまでやってきた。
でも現実はそうもいかない。
最初からわかりきっていたことだ。
同じ場所に立って、同じ風景を臨むことは適わない。
なぜなら、対峙する者同士だったのだから。
そう。当たり前のことだったんだ。
あいつと共に道を歩むことなど決してあるはずがないことくらい。
わかりきっていたことなのに。
なのに、心がひどく乾く。
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