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明日、あの人が聞いてくれますように


「ねーねークラウドってばさー」
「うるさい。というか、興味ない」

そうスタスタと足早に自分の元を去って行ってしまった。
なんだよケチ。
そう悪態ついて座り込む。

人の話、ちょっとくらいは聞いてくれてもいいじゃない。
そりゃあクラウドには興味もヘッタくれもない話かもしれないけどさ。

(女装装備できるくせに、女心のわからないヤツ!)

そんな関係のないことにまで胸の中で愚痴ってみる。

一を聞いて百を知れとまで言わないよ。
ただ、もう少し耳を傾けてくれてもと思う。

好きな人のことを知りたいと思うのは乙女なら当たり前で、何が好きとかこういうのは嫌いとか。
ほんの僅かな情報だって欲しいもの。
そして自分を知ってもらいたいもの。
それに付き合ってくれたって減るもんじゃなしに、…やっぱり全くケチだと思う。

でも、好きなんだよな。
素っ気なくされても興味ないなんて言われても。
一途過ぎてこんな自分が哀れに思えてくるけど、でも惚れたものは仕方がない。
自分の気持ちに嘘つくことはしたくないし、生憎こちらは諦めが悪い。
ちょっと冷たくされただけではヘコたれませんよ。
押して押して押しまくれーが信条ですから…ってあれか。
もしかして、それがいけなかったとか?
あぁ、なんか意外と繊細そうだし。強引なのが良くなかったのかもしれない。

そうと気付けば作戦変更。
ちょっと大人しくしてみよう。
クラウドが気になるくらいに静かにして。
それで声をかけてきたらこっちのモノじゃないか。
でもそこで慌ててはいけない。
いつもの自分らしからぬしおらしい態度で…そう、それこそ女らしく。
強引に聞き出そうとはせずに、さり気なくさり気なく。

だから明日こそはこっちの話をちゃんと聞いてくれますように。



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