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明日、あの人に会えますように


神出鬼没とは、まさしく彼の為にある言葉だと思う。
つかみ所のない人物だとは初めて会った時からなんとなく感じてはいたけれどね。
まさか物理的にもつかみ所がないとは思いもしなかったわけで。

今日も今日とてどこに行ったのやら。

「風が呼んでるんだ」

とか、いきなり意味不明なこと言って楽しそうに出掛けていった。
そして自分はまた置いてけぼりを食らってしまっている。
久しぶりに対面を果たしたばかりだっていうのに。

一度ついて行こうと追いかけはしたものの、あっという間に撒かれてしまって。
あれはわざと?
何か隠している?
いや、そんなことはないだろう。
だってバッツだし。
なんて思って不意に苦笑を零す。

何にも捕らわれずに、動き回っている彼が好きです。
自由に飛び回っている彼が好き。
そんな彼に好きだって伝えたら、どんな顔をするのだろうか。

「ありがとな」

そう言って、またいつもみたいにひとり去って行ってしまうのだろうか。
それとも手を取って、一緒に連れて行ってくれるのかな。
願わくば、後者であって欲しいけれども。
それにはまずは想いを伝えることが第一なわけで。

そう決めたなら、早くも彼に想いを伝えたくなってきてしまうわけで。

でも次はいつ会えるのかはわからない。
どうか、明日は彼に会えますように。



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