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貴方の為に強くなりたい


正直、何故私がこの世界に召喚されたのか…分からなかった。否、召喚される筈ではなかったと言った方がいい。
コスモスは戦いによって生まれた「ひずみ」に飲み込まれたのでは…と言った。
仕方がないので暫く様子を見る事にした。

戦う力を持たない私にコスモスはちょうど聖域に来ていたフリオニール、セシル、クラウド、ティーダの4人に護衛を頼んだ。

今思えば…初めて会ったこの時、既に私は恋に落ちていた…。

「はぁ…」
「随分大きい溜息だね。あ、護衛は僕よりフリオニールの方が良かったかな?」
「違っ…そんなんじゃ…!」
セシルの悪戯っぽい笑みに慌ててそう返す。
「冗談だよ」
11の反応に満足したのか面白そうに微笑むセシル。自分の気持ちが仲間に筒抜けだと察した11は赤面する。
「私、嫌われてるんだ…」
さっきとは打って変わって消沈し、俯いてしまった。
「何かあったのかい?」
セシルが先を促すと11が話し始めた。
「もっと色々知りたくて話かけるんだけど…私の顔を見るなり逃げちゃったり、たとえ話せてもつっけんどんな態度とられたり、あからさまに私を避けたり…」
今にも泣き出しそうな11。
これには流石のセシルも絶句する他ない。
照れ隠しでとっていたフリオニールの行動が全て裏目に出てしまっていたのだ。
「そうだね…。これはもうフリオニール本人に直接聞いた方がいいんじゃないかな?」
「そっか…」
セシルのアドバイスに11も自信なさげに頷く。
「大丈夫だよ。きっとフリオニールも…っ!」
「セシル?」
急に言葉を止め、表情を引き締めた彼に怪訝な顔をする。
「イミテーションがいる。危険だから離れてて!」
「う、うん!」
セシルがイミテーションに向かって行く姿を見つつ物陰へ隠れようとするが…。
「うっ…こっちにもいるし…ι」
別方向にもイミテーションが数体。幸いまだこちらには気付いていない。セシルは他のイミテーションと戦っているので助けを求められない。そうなると選択肢はひとつ。
(逃げなきゃ…)
そろりそろりとイミテーションから遠ざかる。


―――パキッ


「?!」
目の前のイミテーションに気を取られ足下にあった枯れ枝に気付かず踏んでしまった。
その音は思った以上に大きく、イミテーション達は一斉に11の方を向いた。
「11?!逃げるんだ!」
切羽詰まったセシルの声に我に返った11は走り出した。
イミテーションの殆どはセシルが引きつけてくれたので何とか逃げているがそのうちの一体が追って来る。
(よりにもよってフリオの偽者…)
逃げてはいるが体力がそんなにある方ではない11…足が縺れ転んでしまった。
追いついたイミテーションが剣を振り上げた。
(もう駄目…)
覚悟を決め目を固く閉じる。ヒュッ、っと風を切る音が聞こえた。
「当たれ!」
聞き慣れた声が自分の後ろから聞こえ、恐る恐る目を開けると、目の前にいたイミテーションは倒れ、消え始めていた。
「大丈夫か?!」
イミテーションを倒した彼―――フリオニールが11のもとへ駆け寄った。
「あ…有難う…」
振り向き、礼を言うがその声に力がない。
「ほら、立てるか?」
手を差し延べて11を立たせるが、転んだ拍子に挫いたのか足首を刺す痛みにフリオニールの方へよろけてしまった。
「痛っ…」
「おいっ!」
よろける身体を難なく抱き留める。
「……フリオは」
「何だ?」
顔を上げることなく11は話し始める。
「フリオは…私の事……嫌いなの?」
遂に出たその疑問に11は泣きそうになる。
当のフリオニールはどうしてそうなったのか分からずオロオロしてしまう。
「私…フリオに何か…した?考えたんだけど…分からないの…」
泣いて困らせたくなかったのにその言葉が出た途端涙が溢れてきた。
「すまない…」
フリオニールが謝ると彼女の背に腕を回し、優しく抱き寄せた。
「俺の態度がお前を苦しめていたなんてな…」
そこでフリオニールも自分の行動の真実を話した。
思わず避けてしまったのはどう接すればいいのか分からなかったから…女性慣れしていないせいもあり、何を話せばいいのかも分からず、つっけんどんな態度しか取れなかった…との事だった。
「お前の事は…嫌いじゃない……むしろ…その逆だ…」
その言葉に11は顔を上げ、目を見開いた。
「逆…って…」
その意味を察した11の顔がかーっと赤くなる。
「…っ!全部言わせるなっ!俺だって恥ずかしい…」
赤みの指す顔を見られたくなくて更にキツく11を抱き締めた。


それから幾日が経過して…

「やぁっ!」
果敢にもイミテーションに切り掛かる11。
先の一件で自分の無力さを嘆いた彼女は自ら戦う道を選んだ。

初めはおぼつかない状態だったが、素質があったのか要領が良いのか短期間で大きな成長を遂げた。
今では一人で格下のイミテーションを倒せるようにまでなった。
「上出来だな」
消えゆくイミテーションを見ながら満足げに頷くフリオニール。
「フリオニールの隣にいるんだもん!ただ守られるだけじゃなくて守りたいんだ」
にっこり笑いながら恥ずかしい事をサラリと言う11。
「そうか。ならば今度はストレンジタイプのイミテーションを狙ってみるか」
「ちょっ!鬼!悪魔!」
照れ隠しの言葉を真に受け罵る11の額を小突いて黙らせる。
「ならエキスパートタイプにするか?」
「いっ、意地悪!」
更に高難度の敵を吹っ掛けられ慌てる。
「冗談だ。さぁ今日はこれ位にして戻るぞ」
「むー…」
頬を膨らましながらも差し出された手に自分の手を重ね、拠点へと続く道を二人並んで歩くのだった。



戦う道を選んだのは…いつも貴方の隣にいたいから…




end☆





オマケ


それは先の一件があった日の仲間と合流後の事…。


Z「そうか…二人は上手くいったんだな…」

]「良かったっスねフリオ!これでもうすぐ脱☆○貞っスね!」

U「余計なお世話だ…」

W「でも本当に良かったよ。僕達も見てて、やきもきしてたからね」

Z「当の本人は気付いていないようだったがな…」

]「皆にはバレバレだったっスよ!」

W「それはそうだけど好きな女の子に誤解与えた挙げ句泣かせるなんて…男としてどうかと思うよ」

U「……orz」



仲間から祝福されたが、事実を言われ逆に打ちのめされてしまったフリオニールがいたとか…。







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初☆相互記念!

お、遅くなってしまいましたが…(汗)

純情な感じを目指しましたがドンドン違う方へ…しかもグダグタ…(駄目駄目)


このお話は「うずまき」のねぎ様に一方的にプレゼント♪←


ねぎ様、最早n番煎じなお話ではありますが煮るなり焼くなりお好きにしてください…(ぇ)



お持ち帰りは、ねぎ様のみでお願い致します。


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”闇の中の迷宮” あゆり様よりいただきました!

純情フリオニール、大好物ですv
好きゆえに避けてしまうとか!
なんだかとてもフリオらしいと思いますvv

胸キュンなフリオ夢、ありがとうございました!



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