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たまごがゆ


季節の変わり目というのは気温や気圧の変化が激しい。むしむしと暑く湿気の多い日もあれば、四月並みの寒い日もあり11は風邪をひいてしまった。

高校を卒業した後11は志望していた大学に入学し、時間のある日はライトとショッピングを楽しんだり、彼の家へ行って料理を一緒に作ったりと甘く幸せな時間を二人で作っていった。

大学を入学してからは実家を離れ11は一人暮しをしており、やっと一人暮しに慣れ始めた。そんな時期に風邪をひいた。

部屋にあった風邪薬を服用し、ベッドに入り、熱にうなされながら眠りにつこうとするが、一人暮しをしていて風邪をひくと何故だか心細い気持ちになる。

熱にによって体の節々が痛むが、それを堪えて愛しいライトに『風邪ひいちゃった』と一言メールを送信する。
暫くすると彼からのメールの返信が来て読もうとするが、何だか長文が続いていてだるくて読む気にはなれなかった。
また暫くするとライトからメールが届き、『今から君の家に向かう』と書いてあった。嬉しい気持ちと、彼は明日も仕事なのでは?という心配が、ぼやける頭を回転させ、そんな事を考えていた刹那、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。

重たい体を起こし、フラフラと玄関へ行きドアを開けると、両手にスーパーの袋を持ったライトがそこにいた。

「いらっしゃい…」

11はか細い声でライトを自分の部屋に招き、再度自分はベッドに入る。
「全く、大人なのに体調管理も出来ないとは君って奴は…」

「だって…」

部屋に入ってライトは両手の荷物を置き、11にお説教を始め、終るとスーパーの袋の中をあさり始め、プリンやゼリー、のど飴等、色々な物を取り出し、何が食べたい?と11に質問した。

「……かゆ」

「よく聞こえなかった」

「…たまごがゆ」

「なっ!?」

11の答えにライトは驚きを隠せず、暫し硬直するが、愛しい人の為なら…!謎の決意をして台所に立ち、不器用ながらも11の為にたまごがゆを作り始めた。

包丁を使わない料理を選んだから大丈夫だろう。と11は思うが、台所から悲鳴が聞こえてきて心配になり、大丈夫?と彼に問うが、大丈夫だ。問題ない。と返事か帰って来たので多分大丈夫だろうと思い、たまごがゆが出来るのを楽しみに待った。

「たまごがゆの…完成だ…!」

ライトなりの力作なのだろうか。言い方が何だか凄いものを開発した様な言い方だった。

あつあつのたまごがゆをスプーンですくい、ふうふうと食べやすい温かさになる様に息を吹き掛け、11の口元へよせる。

「いただきます…」

ぱくりとたまごがゆを頬張り、ライトの愛情が沢山こもったそれはどんな料理よりもとても美味しく感じ、自分の目頭が熱くなるのが解った。

「初めて一人で作ってみたんだか、どうだ?」

「凄く美味しい」

「そうか」

ライトは11の反応に口元が緩み、ゆっくりと休むといい。そう言い、11の前髪を掻き分け額に口付けした。

「今日は君の家に泊まらせてもらう」

「うん。…ありがとうね」
「何か食べたくなったら言ってくれ。色々買ってきたからな」

何だかんだでお説教をするライトだが、いつも最後はこうやって優しくしてくれる。

今日だけは彼の優しさに甘えてしまおう。




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輪廻の砂時計、もじゃ様からいただいた作品です!
こちらの学パロWOL先生にメロメロでしてvv
リク受付されていたので、これは!と思い、書いてもらっちゃいましたv
実習生フリオニールも好きなんですけどね、やっぱWOL先生には敵わない!

もじゃ様、お忙しい中ありがとうございました!



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