DFF | ナノ




お話しよう 



「そういえば、11っていつもどこに居るんだ?」

バッツがふと11に訪ねる。
アイテムの生成を終えると、少々のコミュニケーションを取り、またどこかへと去っていく11。
他にも仲間がいるとはいえ、そんなに頻繁に生成が必要というわけでもないだろうに。
ちょっとした疑問だ。

「どこって…、他の皆さんの所へ生成に行ってますよ?」

生成したばかりのアクセサリをバッツに手渡し、何を今更という感じで応える。
おっ、サンキューな。と早速身に付けるバッツ。

「それはわかってるよ。でも、そんなしょっちゅうじゃないだろ?空いてる時って何してるのかなってさ。
コスモスのトコ戻ってたりするのか?」
「だいたいは、ウォーリアさんと一緒にいます」
「ウォーリアと?」
「はい」
「意外だなぁ。話し、合う?」

聞けば、仲間との他愛のない会話や見かけた敵のこと、どの辺りの次元にいるのかなど、それぞれの近況を語るのだという。

「まぁ、私が一方的に報告してるって感じなんですけどね」

と続ける。
”一方的な報告”とは言っているが、仲間思いの彼のことだ。
11のそんな行動も頼もしく思っていることだろう。
バッツは感心するかのように大きく頷いた。

そして、ふと気づく。

もしかして、と11に目を向ければ、満面の笑みを称えている。

「もちろん、今おひとりで行動するに至った経緯もお話ししましたよ」

彼の常に前を向き続ける姿勢には脱帽ものだが、それゆえ自分の自由さが彼に申し訳なく感じてしまう。
だからといって産まれ持ってのこの性分をどうにかできるものではないのだが…。

「相変わらずフリーダムだそうだな、バッツ」

(スコール曰く)まぶしいヤツ登場。

一瞬、体が硬直してしまう。
まんまと敵の策に嵌ってしまったことに対して咎められてしまうのではないだろうか。
あれは自分でも流石に無用心なことをしてしまったと思うから、言い訳も何も無いのだが。
そんな後ろめたさから珍しく身を硬くしているバッツを目に留め、苦笑を向けるウォーリア。

「君の力量は確かなものだし、私もそうそう君が無茶な行動をとるとは思っていない」

しかしあまりに11が心配だと言うから、近くにいることもあって少し様子を見に来たという。
確かに、敵の罠に無残にも掛かってしまったことについては感心できることではないが、と紡ぐ。

「だが、そんな自由奔放さも君の良い所だろう?」

なんだか誉められてるのか貶されてるのかよく判らないが、いい方にとっておこうとひとり思う。
ポジティブな思考は大事だ。
それに、とりあえずは力は信頼されてるようだし。

無事な様子のバッツに安心したのか、目の前で11に集めた素材を見てもらっているウォーリア。
何が足りないかを確認してもらってるようだ。


ふたりの醸し出す雰囲気に、思わず見とれてしまう。
殆どの時間を共にしているとはいえ、それだけではないような雰囲気。
なんだか声を掛け難い。
かといって、なにも言わずにこの場を去るのもどうかと思う。
どうしたものかと、とりあえず辺りを見回してみたり、頭を掻いてみたりとひとり落着かないバッツ。



「それではバッツさん。お気をつけてくださいね」

と歩き出す11とウォーリア。
えっ、もう行くのか?と慌てるバッツ。
まだなにか生成できるものはないかと服を弄りつつ頭を捻るが…ないようだ。

「すでにクリスタルを手に入れた者もいるようだ。
我々もうかうかしてられないぞ」

と去り行くウォーリア。

「素材集めも頑張ってくださいね〜」

11が手を振りながらウォーリアの後へ続く。
心なしか生成に訪れた時より明るいカンジなのは気のせいだろうか。

自分が無事なことに安心したのか、それともウォーリアが来たからなのか……。
それは彼女にしか分からない事だし、あえて聞こうとも思わないが。

11ともう少し話したかったなと思いながら、素材集めに帆走してみようと思った。

-end-

2009/3/16




[*prev] [next#]
[表紙へ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -