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考えろ



11を呼び、数分たつ。
そろそろ現れる頃合かと立ち上がると同時に淡い光が浮かびあがった。
彼女の到着だ。
妙に近いところが光ったと思うや否や突如スコールの頭上に姿を現した。
咄嗟の防衛本能で頭を守るように腕を掲げたスコール。
掲げた腕が丁度彼女の背中に当ったようで、体制を整えることができずに不安定に傾れ落ちる。
そのせいで着地に失敗し、よろけた反動で側の柱に頭を打ち付けてしまった。
額を抑えてしゃがみこむ11。
よほど痛いのか肩が小刻みに震えている。

「おい、大丈夫か」
「はい……。だいじょうぶ…です……」

痛みが落ち着いてきたのか、腰をあげスコールに向き直る。
彼女の顔を見れば、少々涙目だ。
出現位置が悪かったとはいえ、思わず腕を当ててしまった自分にも非はある。
額を抑えている11の手を避け、具合を見てみる。
古臭い考えかもしれないが、女の子の顔に傷跡を残すなんてことになったら大変だ。

(責任とれなんて言われたら堪ったもんじゃない…)

幸いにも切ったような痕は無く、ぶつけたところが真っ赤になっているだけだった。
ほっと安堵の息をつく。

「青痣になりますかね?」
「なるだろうな」

即答するスコール。
それをうけ、ショックを隠し切れない11。
退いた涙が再び滲み出す。
そんな様子を受けコヨコヨでも出してやろうかと思ったが、子供じゃあるまいし物で紛らわすのもバカらしいので辞めておいた。
かといって彼女を慰める言葉も思いつかず、痣になることに打ちひしがれている11の額を観察する。

(そもそも自業自得じゃないのか)

出現性能に安定感がないのもいかがなものか。
今回は自分だったから良かったものの、これがウォーリアだったらどうするのか。
彼の兜に刺さりでもしたら、無事ではいられないんじゃないのか。
それよりも今までケガのひとつもしなかったこと自体、奇跡に感じてしまう。
だいたいこの少女はもっと落ち着いた人格だと思っていたのだが。
どうやら自分やティーダに見せる彼女の姿が本来の性分らしいと最近気が付いた。
”同じ年同士、仲良くするっス!”
などとティーダが言っていたが、仲良くも何もこちらは任務を遂行できればそれでいい。 馴合うつもりなど無い…のだが。
そんなことを頭に廻らせていると裾を引っ張られる感触がした。

「そろそろ頭を解放してもらえませんか?」

額を見るために手を添えたままだった。
添えてというよりも両手で固定しているというべきか。
青痣になることから立ち直ったらしい11には少々居心地が悪いようだ。

「痛い目にあいたくないなら出現場所を少し考えたらどうだ」

手を降ろし11に提言する。
一瞬首を傾げたが、すぐに表情を明るく変え感心したように大きく頷く。

「それもそうですよね。配慮が足りませんでした」

ついでに自分に対する態度も配慮してもらいたいところである。
生成に熱心なことはいいことだと思うが、もう少し回りも見たほうがいい。

-end-

2009/5/1




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