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召喚獣



「おひとりですか?」

以前バッツ達のもとに行った時に彼らと合流したかに見えたスコールだが、今現在はひとりのようだ。
見ればわかるだろうと言わんばかりの態度で集めた素材を11に手渡していく。

「これで足りているか」

品数は少ないが、生成に足りないモノはない。
ひとまず素材を預かり、チラリとスコールの様子を窺うと渋い顔で目を逸らされてしまった。

「そんな嫌そうな顔しないでくださいよ」

スコールに手を差し出す。
わざとらしく大きなため息をつき、スコールは渋々とポケットの中を弄る。
手に当る硬い感触。
それを取り出し、11へ渡す。
すると一体の召喚獣が姿を現した。

「お元気でしたか?コヨコヨ」

スコールが見付けて以来気に入ったらしく、来るたびに面会を挑んでくる。
鬱陶しいが、生成拒否でもされたら溜まったものじゃない。

「心配しなくても、生成ならちゃんとしますよ」
「……わかっている」

いつか生成拒否も覚悟で断ってみた時の11の残念そうな顔が蘇ってくる。
あの時は流石に少々良心が痛みもしたが。
それでも懲りずに、こうしてまた頼んでくるあたり、案外強情な一面もあるようだ。
同じ年齢(と言い張る)のせいか、なにかと構ってくる彼女を正直鬱陶しいと思う。
一方、直接手をだして戦っている訳ではないが、彼女だって生成という形で皆に力を貸してくれている。
だから、たまにはこうやって我侭を聞いてやるのも悪くないとも思う。
少し複雑な心境のスコールである。

一通りコヨコヨとの交流を終え満足したのか、漸くスコールへと返却してきた。
満足そうな笑顔を浮かべている。

「では生成してしまいますね」
「いや、ちょっと待て」

敵の気配がする。
眼前に広がる崖の先にイミテーションの姿が見えた。
先に倒してくると向かうスコールの後ろをついてくる11。

「11、ここにいろ」

敵に姿が見えない故に危険はないのだが、これから使用するであろう召喚獣を考えると……、いや、この召喚獣を引き連れ戦う自分の姿を見られるのが嫌なのか。
あまり見てもらいたい状況ではない。

「コヨコヨの雄姿を見てみたいんです」
(…コヨコヨなのか?)
「スコールさんなら、コヨコヨ使いこなす姿も素敵ですよ」

思考駄々漏れである。
しかしここで素直に見学させてしまうのもなんだか圧されているようで悔しい。
何か良い言い訳がないものかと考えを巡らせる。


「………気が散るから見えない所にいろ」

スコールのその一言に一応納得したのか、物陰へと移動していった。

戦闘終了後、生成を催促するスコールとコヨコヨに労いの言葉を掛ける11。
スコールからは見えないトコロに身を潜めていたようだが、彼女からはその雄姿がしっかり確認できる位置に居たらしい。
この様子では、しばらく生成はして貰えなさそうだ。

-end-

2009/4/13




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