DFF | ナノ




想い



目的の素材を集め終え、合流場所へ足を踏み入れる。
いつもなら、戻ってくるのを察して出迎えてくれる11なのだが、姿が見えない。
誰かの元へ生成にでも行っているのだろうかと確認も含めて辺りを見回してみれば、木に寄りかかり、身動きひとつしない11を見つけた。

(眠っているのか? )

静かに歩み寄ると、微かに寝息が聞こえてきた。
そういえばここ最近は頻繁に仲間達に召喚されていたことを思い出す。
彼女の力が必要ということは、皆、順調にレベルを上げることが出来ているのだろう。

(疲れるのも無理はないか)

もともと彼女は戦闘をする者ではないし、生成だって魔力を使う以上体力を消耗する。
目的の素材を手に入れてきたのだが、すぐに生成が必要というわけでもない。
今日のところは自分ももう休もうと、兜を外し11の隣へ腰を下ろす。
現在拠点としているこの場所は、数少ない、コスモスの加護の恩恵を受けている所なだけに敵が侵入してくることもない。
安心しきっているのだろう。
しかし、これだけ近づいても起きる気配すらないとは少々問題な気もする。

「……」

少し下に位置する11の顔を見下ろす。
ふたりで進む道すがら、彼女は様々な話を持ちかけてきた。
最初は騒がしいと思いつつ相槌を打つ位だったが、誰がどこに居るのだとか、念願のクリスタルを手に入れた者のことなど、ひとりでは得ることの限られた情報を仕入れてきてくれる頼もしさに、次第にこちらから判らないことを聞いてみたり、一緒になって考えてみたりと自身もだいぶ打ち解けてきたと思う。

以前、彼女の頭を撫でてみた時に覗かせた、真っ赤になった顔を思い出す。
初めて見せたその表情をまた見てみたくて、あれから事あるごとに撫でてみたが、慣れてきたのか近頃は赤くならなくなった。
その代わりに、嬉しそうに、はにかむような笑顔を見れるようになったが…。

自分を慕ってくれている11。
ただ、純粋に。

(愛しい…と感じるのは傲慢だろうか)

彼女の頬にそっと触れてみる。
その感触に少し瞼が揺れたが、起きる気配は無い。

(無防備なのも考え物だが……)

悪戯心に、徐徐に顔を近づけていく。
眠っている者にこんなことをしてしまうのは自分らしくもないとは思うが、思いとは裏腹に体が動いてしまう。
しかし、その唇に触れるという瞬間、パッと目覚めた11と目が合ってしまった。

「…目覚めがいいな、11」
「あっ、あのっ!ウォーリアさん!?」

頬に添えられた手に、至近距離にあるウォーリアの顔。
思わず顔を真っ赤に染め上げる11。
髪に落ちてた木の葉を差し出し 、「付いていたぞ」と、あくまで冷静なウォーリア。
冷静そうに見えながらも、心の奥ではほんの少しばかり気落ちしている。
だが、(久しぶりにあの顔を見れたな)と妙に満足しているのも確かだ。
慌てながらも、髪に付いていた木の葉を受け取り礼を述べている11。
まだ僅かに頬が赤い。
この程度でこんな反応をしてくれるとは、まったく飽きの来ないことだと思うが…。

いつかこの想いを彼女に告げたとしたら、どんな顔を見せてくれるのだろうか。

-end-

2009/3/?




[*prev] [next#]
[表紙へ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -