最後の階段を上りきってドアの前に着く。

屋上に出るドアを開けると誰もいなくて静かだった為かこの屋上はとても広く感じた。

すぐに追いつくと言っていた雲雀さんはまだ来てない。少し待っていたら来るだろうけど。

雲雀さんが窓から降りたあと、外から複数の男子生徒の叫び声が聞こえた。まるでこの世の終わりの様な叫び声だったけど、一体何をしているのかは見れなかった。


空を見て、周りも見渡す。特に変わったものは無く、私はどうしてここに落ちて来たのかを考えてみるが分からないままだった。名前は覚えているけれども何をしていたのか、どこに住んでいるのかが全く思い出せない。どうして記憶を無くしているのか。衝撃で無くしたのか、誰かに無くされたのか。

空から落ちてきた、のはどういうことなのだろう。
飛行機やヘリコプターなどによって上空から落ちたのか雲雀さんが言っていた様にこの世界の人間ではないのだろうか。

分からないと行動が出来ない。
今だって結局は雲雀さんに頼りっぱなし。知らないと自分はどういう人なのか証明ができない。帰るヒントも何もない。

分からないから想像しかできなくて頭の中がグルグルして気持ち悪い。


結局、屋上に来たけど何も思い出せてない事がとてもショックだった。


気持ちを切り替える為に校庭や景色を見てみようとフェンスに近づくら。するとグラグラと目眩がして立っていられるずにしゃがみ込む。強い目眩にその場に倒れてしまうのではと思う程。

フェンスに近づいたのと同時だった。

フェンスに近づいたから?
外に何かある?


…記憶が思い出せる?


そう考えると外が見たくなった。

呼吸を整えてから1歩ずつフェンスに近づく。近づくにつれて目眩が強くなり、視界がグルグルと回り始めてハッキリと見えない。もうまっすぐに歩けている気がしない。少しでもバランスを崩したら倒れてしまうだろう。

もう少しでフェントに届く。
腕を伸ばせばフェンスを触れれる。

もう少し、もう少しと思いながら腕を伸ばしてフェンスを触ったつもりが、何故かフェンスをすり抜けて体が外に出ていた。


お ち る


そうわかった時には目眩が無くなって視界もハッキリしていたが足は着いておらず、私の体は宙に出る。気持ちの悪い浮遊感と恐怖心が一気に湧き上がる。すぐに風が身体中に当たり、落ちる速度が増していった。
どこかに捕まる力さえ残っていなかった。



私はそのまま落ちていく。 










04




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -