「ねぇ、どうしたの?」
「ン?別にィ…。」

別に、なんて事はないだろう。放課後の教室でいつものように荒北を待っていたら、いつものようにやってきて。ただ、いつもと違うのは何かこう、近い。
フラフラと歩いて来て、隣に腰掛けて、そのまま頭を私の肩に預けてきた。

「何かあった?」
「いや、何もねェけど。」
「んーそれなら良いんだけど。」

別にもたれ掛かられるのが嫌と言うわけではない。ただ、いつもぶっきらぼうで、オラ帰んぞ!!ってドカドカ歩いて行ってしまう様な男が今日は妙にしっとりしている。何かあったのではと心配してしまうじゃないか。
サラサラと首に当たる細い髪。肩にじんわり感じる暖かさ。…まぁ悪くはない。

「名前さ、」
「うん?」
「良い匂いする。」
「え?あ!ごめん、もしかして香水つけすぎ…?」
「近くで分かるくらいだから大丈夫だと思うけどォ。」
「そう?」
「あぁ、本当良い匂いすんなァ…落ち着くっつーか。」

肩から顔を上げた荒北の鼻の先が、首へ向いたのが分かった。腰に手を回され、体重がかかる。大型の忠犬に寄り掛かられているみたいだ。

「名前の匂い、好きだわ。」
「あ、ありがとう。」
「照れたァ?」
「うるさいよ。」

ちょっとこの荒北犬は生意気みたいだけど。

「もうちょっとこのままでイイ?」
「…うん。」
「ありがと。名前チャン、だーいすき。」

ぎゅっと腰に回る手に力が入って。甘い荒北も悪くないなって、いつもより少し早い鼓動を感じながら私も体重を預けた。



(今日は甘えたい気分なの?)
(いっつも甘えたい気分だケドぉ?)
(そんなの初めて聞いた。)
(言わねェだけからナ。)

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To奈落さま
こんにちは、リクエストありがとうございます!
主人公大好きな荒北さんと言うことで書かせていただきました。
彼は狼であり忠犬でもあると思います。
普段は男らしいけど、本当に信頼してる人や好きな人にはべったりと言うかしっぽ振ってそうで!
ご意見ありましたらご連絡下さい、ありがとうございました!!






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