柔らかい日差しの休日。ベランダに出て外を眺める。穏やかな空気が心地好い。

洗濯物は…さすがにまだ乾かねぇな。
買い物は…そうだ新しいシャツを買おうと思ってたんだ。
名前は…………

窓から覗き混むとソファでうたたねをする名前の顔が見えた。

まァ寝かせておいてやるか。いつもあちこちクルクル動き回ってる名前がおとなしくしてるのは珍しいし。
名前と出会った時は高校時代だったか。自転車部のマネージャーをやっていて昔っから働き者っつーか、忙しそうなヤツだなぁって思ってた。それでも昔よりかは落ち着いた方か。

「ックション!!」

今日は暖かいつっても吹く風はひんやりしている。いそいそと中へ入って名前の隣に腰をかけた。

あれから何年経っただろう。あの時はただガムシャラで、色んなものを得て、色んなものを失って、それを何度も繰り返して。
それでも変わらないものもあって。

「…やすくん…?」
「わり、起こしちまったか。」
「ううん。あのね、高校時代の夢見たよ。」
「ヘ、ヘェ。勉強でもしてたァ?」
「うーん、勉強はしてないけど部活のみんながいたよ。」
「楽しそうな夢だな。」
「うん!またみんなに会いたいくなっちゃった。」
「アァ、…そのうち同窓会でもやるか。」
「やすくんから同窓会なんて、珍しいね!!何かあった?」
「別にイイだろうが。ホラ、買い物行くぞ。」
「待って!準備してくるから。」

パタパタと急ぎ足でかけていく名前の後ろ姿。あの頃と少しも変わらない後ろ姿。
一人占めしたいと思った青臭いあの日。
いつも通りドリンクボトルをくれて救われたあの日。
道が分かれて少し遠くなったあの日。
名前を守っていこうと決めたあの日。

幸せにすると誓った祝福のあの日。


「行こ!!」

差し出された小さな手にはお揃いのリング。手を絡めるとリングがあたってこそばゆい。

「何買うの?」
「カッターシャツ。名前は?」
「んー特にないから選んであげるね!あと晩御飯買わなきゃ。何が良い?」
「何でも?」
「それが一番困るんですー。」
「名前の作ったもんなら何でも良いんだヨ。」
「…。」
「照れんなバァカ。」
「もう!!」

手を引いて名前と歩きだす。
過ぎ去った日々も、見慣れた景色も、全ては今ここに繋がっている。ここが俺と名前の居場所。

何かが変わっても、「今」から伸びる道の先にも、どうかずっと君がいますように。


―――――――――――

To匿名さま
こんにちは!リクエストありがとうございます!
未来の夫婦、ということでしたが若干回想っぽいお話になりました…。
口は悪いけど奥さんに甘い靖友くんだと良いです…奥さん大好きな靖友くん!!
ご意見等ございましたら直しますのでお気軽にどうぞ^^






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