「そうか、名字もこのバンドが好きなのだな。」
「うん!この前ライブDVD見せてもらったら凄く良くって。今日もレンタルしに行こうかなって思ってるんだ。」
「そうか。しかしその必要はないな。」
「何で?」
「俺が貸してやる。」
「え、本当!?」
「あぁ、何枚か持っているから明日持ってきてやろう。」
「やった!!ありがとう、本当にありがとう!!東堂君ステキ!男前!」
「ハッハッハ、礼には及ばんよ!!」

隼人を待っている時、偶然東堂君に遭遇して現在に至る。思い出せないくらい些細な話題のキッカケだったのに、好きな音楽の話にまでなって盛り上がった。さすが東堂君と言った所だろうか。

「またオススメのCDも貸すか…」

ガラッ

「お待たせ。」
「隼人!」
「おぉ隼人、彼女がお待ちかねだぞ。」
「そうか、ごめんな、名前、尽八。」
「俺は構わんよ。名字ともたくさん話せて楽しかったしな。じゃぁ明日また持ってくるから楽しみにしていたまえ!」
「うん、よろしくね!東堂君バイバイ!」
「じゃぁな、尽八。」

ヒラリと手を振って東堂君が教室を後にした。

「お疲れ様!」
「あぁ。尽八と何話してたの?」
「んー音楽の話とか?明日CD貸してくれるって。」
「そうか、良かったじゃん。」
「うん!東堂君って話しやすいし優しいし良い人だね。」
「確かにイイヤツだな。」
「でしょ?ありゃ女の子にモテて当然だよ。」
「ははっ、だろうな。」
「喋り方とかカチューシャは変だけど…隼人、どうしたの?」
「んー?」
「あ、こら、」

ぴったりとくっついてきた隼人が顔を首元に埋めて。ちゅっと首に吸い付かれたので、見えるからダメと咎めた。

「見えなきゃ意味ないだろ?」
「いや、でもっ。」
「名前はさ、俺のだって分からせないと」

尽八にも、と凄く小さな声で続けられて
、彼の違和感を理解した。「嫉妬」なんて、隼人には無縁の言葉だと思っていて。いつも通りの口調に隠れて見える、そんな所もすごく愛おしく思えてぎゅっと抱きしめた。

「俺、格好悪いな。」
「そんな事ないよ、ねぇ隼人、」
「ん?」

顔をあげたところを不意打ち。隼人の首に強めにキスをして、同じように印を落とす。

「ほら、お揃い。私は隼人のもの。隼人は私のもの。」
「名前、」

そのまま噛み付かれるように唇を奪われた。リップ音をたてて触れて離れる。
それからお揃いをより色濃くするように、また首にも。
キャンバスに咲き乱れる赤い花を描くように、胸や腹にも。
本能を呼び覚ますような強烈な刺激を、腰骨と秘部にも。
見える所にも、隼人しかしらない所にもたくさんたくさん隼人は所有印を落としていって。

「中にも、マーキング、な?」
「あっ」

人前に晒される事のない姿を、私を、惜し気もなく隼人に見せる。あなたしかしらない中だって。だから嫉妬なんて全然格好悪くなんかないんだよ。

「はや、と、あっ。好き。全部、好きっ。」

優しい心も、制御できない心も。

「はァ、名前、俺も、」

その欲望も受け止める。

あなたのその全てが私のもの。
その全てを引っくるめて私の愛しい人。


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Toまおらさま
リクエストありがとうございます!
余裕を持ちながらも嫉妬する新開さんと言う事で、平静を保ち言葉を紡ぎつつも、自分の嫉妬を隠しきれない新開さんを目指しました。
ちょっと甘いかが怪しいですが…!
そしてメッセージもありがとうございます!
これからもペダルを増やしていけるように頑張りますね^^
ご要望やご意見などありましたら遠慮なく言ってくださいね!






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