3.雨宿りに入った場所で

「雨結構強くなってきたね。」
「だな。もう少し待ってみっか。」

帰り道に突然降り出した雨。周りにコンビニなどもなく、山の近くの境内へ駆け込んだ。幼い頃よく友達と遊んだ場所だ。今はすっかり寂れてしまい、神様だとか狐だとかが憑いていそう。
境内の屋根のある場所で靖友と雨をしのぐ。人気はなく、雨音が際だって聞こえる。

「雨の日に来ると少し怖いね。」
「そうかァ?神様だかが奉ってあるだけだろうが。」
「うん、分かってるけど…。」

分かっているけど、静かな神社とかお寺って何だか怖いじゃない?

「ったく、ホラ!」
「わっ。」
「つめてっ。」

ぐっと引き寄せられ靖友の胸元へすっぽりと収まる。雨で冷えた身体は、シャツ越しに靖友の体温を敏感に感じとった。

「わ、靖友あったかーい!」
「だーこら!押し付けんな!!」
「良いじゃんあったかいし。」

靖友の優しさに少し調子に乗って身体をより密着させる。薄っぺらい見た目より幾分かしっかりした筋肉の感触が心地好い。
観念したのか靖友も私の腰に手を回し、ぎゅっと抱きしめ密着する。…いや、ぎゅっと抱きしめると言うか…

「え、ちょっと、何押し付けてるの。」
「何ってチンコォ?」
「いやいやいやいや意味わかんないから。しかもこんな場所で。」
「こんな場所だから、だろ?名前から誘っといてお預けなワケェ?」
「そういうつもりじゃ…!!」
「あっためてやるっつってんの。」
「んっ…」

耳元で低く囁かれれば変な声が出てしまって。交渉成立だと言わんばかりに唇に噛み付かれぬるっと舌を絡ませられる。
靖友は私を大人しくさせる術を知っている。だからこうやって甘いキスをして、骨抜きにして、自分のペースに持っていく。
私の身体のラインをなぞるように往復していた手は次第に中へと侵入し、私の興奮をも高めていく。雨で冷たく濡れていた身体も次第にほてっていき、靖友を求めてしまうのだ。

「も、ここじゃダメ!罰当たりだよ!」
「燃えるじゃん。神聖な場所でエッチすんのって。
「でもダメ…!」
「『ダメ』だから良いんだヨォ。分かんだろ?」
「ふ、あ」

冷たい石壁に手をつかされ後ろから腰を持ち上げられる。そしてそのまま半ば強引に靖友の欲を押し込まれた。私の膣はすんなり挿入を許してしまう。
こんな場所でという背徳感、罪の意識。しかしそれは次第に私を駆り立て、快楽追求の要素として変化する。『ダメ』だからこそ『イイ』、人間の本能とは本当にあまのじゃくなものである。

「カミサマのいる場所でこんなはしたない声出しちゃって良いワケ?」
「あっ、だ、って、きもちんだもん」

気持ち良くて、でももっと欲しくって。やはりこの状況に酔ってしまっているのだろうか。靖友のピストン運動に合わせて自然と腰が揺れる。
汗が、声が、愛液が止まらない。もっと濡れてもっと乱れてしまえば良い。たとえカミサマが見ていたとしても。だからこそ見せ付けてしまおう。あまのじゃくな人の本能に従って。

「や、ぁん、靖友、そこすごく良い、の、あっあ」
「名前、っ…」

喘ぎ声と愛欲の音は雨音に消され、行為はこの小さな空間にいる私と靖友と見えない何かだけの秘め事となった。

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