his warmth

最近、急激に気温が下がった。昼間は暖かいかなぁ、なんて思っていたけれど、やはり日が沈んだ帰り道は寒い。

「ふぁ…ッくしょーい!!!!」
「うぉ、おっさんか!!」

まだ暖かいと油断して、しっかり防寒をしなかった結果がこれだ。学校の帰り道、「彼の部活終わりを待っている健気な女の子キャラ確立作戦」もむなしく、彼氏の前で醜態をさらしてしまった。

「だって寒いんだもん…ずびっ。」
「昨日、天気予報で気温下がる言うとったやろ。しっかり自己管理せな。」

謙也はばっちりネックウォーマーをしている。なんだか先を越された気分だ。

「明日からマフラーしてこよ…今日は我慢の日だ…。」
「明日風邪で休んだら意味ないけどな。」
「…風邪ひいたら謙也の病院行こ。」
「それ、シャレにならへんわ。」

せやからこれつけとき、とネックウォーマーを外してズボッと私にかぶせた。

「無いよりマシやろ。」
「でも謙也寒くない?」
「俺はさっき部活して体温まっとるから平気や。名前はずっと待っとったんやろ?長い事待たせてスマンかったな。ほんでおおきに。」
「別に待つくらいどうってことなかったし…。」

照れる私を見て、笑いながら頭をポンポンされたのがさらに恥ずかしくなってしまって、謙也の熱が残っているネックウォーマーに鼻までうずめた。

「あったかいやろ?」
「…うん。あ!あと、すごい謙也のにおいがする。」
「え!?それって汗臭いっちゅーこと!?」
「違うよ!いいにおいって言うか、安心するって言うか…。」
「安心?」
「うまく表現できないけど、すごく好きなにおいだよ。」
「へぇ…。」

曖昧な返事をしたな、と思ったらぐっと腕を掴まれて謙也の胸へ抱き寄せられた。

「な、なに、どうしたの?」
「そんなネックウォーマーごしやなくて、こっちの方がエエやろ?俺も暖かいしな。」

ダイレクトに伝わる謙也の熱やにおいに、頭がクラクラするのが分かった。



(好きなだけくんくんしてエエよ。)
(それは変態くさいよ…。)


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