kiss me

「靖友は好きだからキスをするのか、キスをして好きになるのかどっちなの?」

学校帰り、靖友にそんな話をふった。
昨夜「キスをすると本当に人を好きになるのか」というネット番組を見たからだ。

「はぁ?そんなの知らねェよ。」

靖友とは同じ部活で(私はマネージャーなんだけど)帰り道が同じだから時々こうして一緒に帰る。
別に付き合っているわけではないが、くだらない話や相談など色々話す。
友達以上恋人未満と言ったところだろうか、親友のような感じだ。

「靖友の経験からするとどっちが近いのかなぁって。」
「ンな事いちいち覚えてねぇし。」
「覚えてないくらいキスしたみたいな言い方だね。」
「そう言う名前はどうなワケ?」
「私は……いや私もよく覚えてないや。」
「おめーもじゃん。」

靖友がハハッと呆れたように笑った。

「でもやっぱりキスするとその人の見方が変わるもんなのかな?」

「そんなに気になるなら試してみるか?」

「え、試すって?キスを?」
「そうに決まってんだろ。自分から話振って何その反応?」
「いや、気になるけど…靖友は良いの?」
「まぁ今彼女いないし。おめぇとだし問題はないだろ。」

問題ないのかそれ?
しかし私も興味本意でその話にのる事にした。
靖友だし気まずくなる事は無いだろう。


*


「…なんか緊張するんですけど。」
「確かに変な感じだな。」

人気のない公園の隅で靖友と向き合う。

「付き合ってる人以外とキスするなんて初めてだよ。」
「ハッ、意外と純粋なんだな。」
「ちょっ!それどういう意「るっせーな、少し黙ってろ。」

言葉を遮られキスをされる。
唇が触れるだけのキス。
靖友の唇は薄いけど暖かい。

「…どう?」
「悪くはねーな。」

ニヤリと笑みを浮かべられからかわれたような気持ちになった。

「私は…私はまだそんなんじゃわかんない。足りないよ。」

一瞬驚いたような顔を見せたが、またニヤリとして靖友の顔が近づく。

「まだ、これからに決まってんだろ?」

再び口づけられた。
最初は優しく触れられ、それから上唇を靖友の唇に挟まれるようにしてキスをされる。
啄むような動きに心臓が早まり、ぎゅっ、と靖友の背中に回した手に力が入った。
すると舌でペロリと唇をなぞられる。
そしてそのまま口内へ舌を捩込まれた。
「んっ」
舌を絡ませ合う度、ちゅ、くちゅと音が響いて何だか恥ずかしい。
酸欠になりそうで唇を離そうとしたら名残惜しそうに靖友が舌を抜いた。

「ぁっ、はぁ…」
「大丈夫か?目がトロンってなってっけど。」

だってとろけてしまいそうだったもん。

「何か…すごい気持ち良かったかも…。」
「ハッ、そりゃ良かったな。」
「靖友は…どうだった?」
「俺は、」

靖友の顔が再び近づく。

「もっとしてぇって思った。」




(それならばもっと教えて、あなたのキスを)

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