kiss me4

初めて彼の部屋で過ごす休日。2人でDVDを見たりして、会話を交わす。隣に座っていた巻島君にふいに手を重ねられ、そのまま指を絡められて少し驚いてしまった。

「ま、巻島君…」
「どうしたっショ?」

巻島君と付き合って2ヶ月。一緒に帰ったり、手を繋いでみたり、あとまだ数回だけどキスしたり、ようやくカップルらしい事ができるようになった。
とは言っても私に恋愛経験があまりなく、さらに彼に片思いしていた時期が長かったから、未だにドキドキしてしまう事の方が多い。誰かが「彼氏の側が一番安心する!」なんて言ってたけど自分にはまだそれが分からない。安心どころか、心臓が壊れてしまうんじゃないかとすら思う。

「いきなり手を繋がれたからちょっと驚いて…。」
「あぁ、ごめん嫌だった?」
「ううん!嫌じゃないよさ。本当、ただビックリしただけ。」
「そぉ?無理しなくっても大丈夫っショ。」

こんな私に対して巻島君は本当に優しく接してくれていると思う。無理強いはせず、私が慣れていない事を彼はおそらく分かっていて、そのペースを保っていてくれる。もちろん、もっと恋人らしい事をしてみたい願望はあるのだけれども。彼の優しさを確かめるように、絡めた指に力をこめればぎゅっと握り返してくれる。あぁ、やっぱり好きだ。

「名字?」
「巻島君、あの、」
「?」
「あ、あの、キスしたい、な…」

思わず口から出た言葉に、顔中に血液が昇ったような感覚になって、堪らず巻島君から目線を外した。絶対今ヒドイ顔してる。キスしたい、でも恥ずかしい。自分はなんて面倒臭いんだ。
しかし頭の上からクハッと笑う声が聞こえて、巻島君の長い指が私の頬をなでた。

「名前、ほらこっち向くっショ。」

おそるおそる顔をあげれば彼は優しい目で私を真っ直ぐ見ていて。
私の唇は巻島君の元へと誘われ重ねられた。

(でも本当はもっと色々な彼を知りたいの)

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