幸せの場所

日差しが心地好い土曜日午後3時。隣から聞こえる小さな寝息に思わず笑みがこぼれる。

久しぶりのオフだから何がしたい?と聞いたら、「名前の作ったご飯が食べたい」と、随分と可愛らしい返事をしてくれたものだ。午前中に一緒にショッピングモールへ行き、服や輸入雑貨を見た後、お昼ご飯の材料を調達。帰ると1時を過ぎていて少し遅めのお昼ご飯となってしまった。それでも隼人は嬉しそうに私の作ったパスタを食べてくれた。

部活で疲れていたのだろう、私が片付けをしている間に隼人は眠りについてしまったようだ。部屋から持ってきたブランケットを隼人にかけ、私も横になった。
せっかくのオフでゆっくりしたいはずなのに、こうして私に合わせて空いた時間に会ってくれる。「普段全然構ってやれないからさ。」なんて、私は隼人の自転車に対して一途な所が好きなのだから気にしなくって良いのに。

そんな事を思いながら隼人のきれいな髪を指ですく。私が触ろうとしても普段は届かないんだもん、今日くらいは良いよね?それから厚い唇。ふにっとふれると柔らかくってでも弾力があってクセになりそう。いつもキスする時は気にしていなかったけど。
こうして隼人の事をまじまじと見る事は無かったから、お昼寝してくれたのは良い機会だったかなと思った。そして愛おしい彼の頬をなでて、優しくキスをした。

「ん…名前…?」
「あ、ごめん、起こしちゃった?」
「…名前に愛でられる夢見た…。」
「案外夢じゃないかも。」
「んーじゃぁ次は俺が名前を愛でる番ね。」

隣にいた私をぎゅっと抱きしめて、しばらく顔を見つめられた後、隼人も優しいキスをしてくれた。

「…もう少しこうしてても良いかい?」
「うん。今日は甘えたな隼人だね。」
「だってすげぇ落ち着くもん。」
「そう?」
「うん。…なぁ、名前。」
「なぁに?」
「このまま寝て良い?」
「私は良いけど隼人寝にくくない?」
「この幸せの状態のまま眠りに落ちたいんだ。」
「…どうぞ。」
「ありがとう。」

クスッと笑って隼人は瞼を閉じる。そんな彼を見て私も幸せな気分になって、眼を閉じ共に溶け込んでいった。

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