kiss me3
「あったか…ってか缶熱っ」
下校途中、私は寒さに耐え兼ねてコンビニで缶コーヒーを買った。荒北はこのくっそ寒い中でもベプシを買っていたが。近くのベンチに腰を下ろし、プルタブを開けて一口頂く。
「あちっ」
「名前猫舌なワケ?」
「ちょっとね。飲めない熱さじゃないんだけどさ、ホラ。」
「……まぁちょっと熱ぃかもな。」
「でしょ!少し待って冷ましてから飲も…って荒北?」
荒北は再びコーヒーを飲みはじめた。
「ちょっと、私の分無くなっちゃうじゃんバ、っん!」
バカって言おうとしたのを荒北の口によって止められた。止められただけではない、そのまま口移しでコーヒーが注がれる。温かいコーヒーが、こくんと喉を通っていった。口が離れると自分の顔に熱がたまっていくのが分かった。
「少しは飲みやすくなったんじゃナァイ?」
「う、もう…!」
「もう一口やるよ。」
「い、いや、いらないよ…。」
「って言うか俺があげてぇんだけど。」
「なにそれ…。」
おでこをくっつけられたまま、そんな事を言われてしまっては断れない。コーヒーを口に含んだ荒北に口づけられ再びコーヒーを流し込まれた。顔だけじゃない、喉や体も熱くなっていく。
それを飲み干すと荒北の舌が入ってきた。どさくさに紛れて何してんだ、と思いながらもその行為を受け入れる。
唇を離すと、「ちょっとハマリそうかも」と呟いて、少し照れ臭そうに笑っていた。
(次はベプシでやるか。)
(それは絶対嫌。)
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