しまいこんだキモチ

「んッ、東堂、バックばっかりヤダ…!」
「そんな事はないだろう?美味そうに咥えてるではないか。」
「い、っんあ」

授業中、誰もいない資料室で行為に及んでいる私と東堂。でも私たちは付き合っていない。所謂セフレの関係である。



『東堂ってもてるよね。』
『まぁな、女子の相手は俺の仕事のようなものなのだよ。』
『私も、』
『なんだ?』
『私も相手にしてよ。』



私は友達である東堂が好きだった。でも東堂はモテモテで、女の子に困っている様子はなかった。いちいち女になびく様子もなく余裕ぶってるのが悔しかった。
そしていくら仲が良いとは言え、私が女として見られることはなかった。そのことにも焦った。女として見てほしい。異性として見てほしい。できれば、ファンの子以上に。
そうして身体の関係を持つようになった。どうせ叶わぬ恋ならば、身体だけのそれでも良いと思っていた。

「もっと腰を上げてお尻を突き出して。」
「ふ、ぁ、こう…?んん!!」
「本当に、いやらしい女だ、名前は…」

腰を掴んでガツガツと後ろから突き上げられる。東堂はバックが好きなのか、この体位との相性が良いのか、いつも後ろからしか抱かない。それ故に、セックスの最中にキスをすると言うこともなかった。そのかわり、背中を執拗に舐めたり、吸い付いたり、噛んだりして攻めてくる。本当は、向き合って身体を重ねたいとも思った。しかし、東堂はそれを拒み続けている。

「あん!あぁぁ!」
「っく、痙攣しすぎ」

背中ばかりというのも、初めは慣れず変な感覚であった。しかし今ではそれがたまらなく気持ちよくなってしまう。今も肩甲骨から背骨のあたり歯を立てられてイってしまった。だからまた、後ろから攻められることに抗うことができないのだ。

「そんなに好きならもっと開発してやらねばならんな。」
「ちが…」
「違わないだろ、ホラ」
「ひぁ!あぁ!」
「身体はこんなに悦んでいるじゃないか。」

ちがうちがうちがう、カラダが言う事きかないの、心は違うの。違うのに、やめなきゃって思うのに、言う事きかないの。こんな下卑たカラダになった事、今はただ後悔するしかない。
本当は東堂の顔がちゃんと見たい。向き合ってセックスしたい。
でもそんな資格もうない。

「はぁ、名前、ぁっ、たまらんな…!」
「東ど、ぉ…」


本当は好きって言いたいのに。
ちゃんと愛し合いたいのに。



(後ろからで良かった。)
(みじめったらしく後悔するぐちゃぐちゃの顔を見られなくて済むのだから。)


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