過去拍手[橙]

秋が過ぎ、冬がやって来ようとしている。
気温も下がり随分と日が短くなったものだ。
つい最近まで明るかったこの時間帯の空も夕焼けに染まり、次第に暗くなってくる。

もうすぐ今年が終わる。
すぐに新しい年が始まって、また終わって、それを繰り返す。
変わりゆく空を見てそんなことを思った。
同時に、自分や周りも変わっていってしまうのだなと思うと、少し寂しく感じた。

「おまたせ。」
「長かったね。大丈夫だった?」
「ああ。志望校はとりあえずこのままで大丈夫だって。」
「そっか。私も頑張らなきゃ。」
「お互いにな。じゃぁ帰ろうか。」

私たちは受験生だ。
当然目指してる大学も違う。
卒業したら、今みたいに毎日学校で会うこともなくなるのだろう。

「寒っ。冷えるな。」

そう言って新開は私の手を取った。
新開の手は大きくて温かくて、心地よい。
短い帰り道、たまにこうして手をつないで帰る。

「また明日。」

いつもの分かれ道。
また明日、と私も返して手を振った。
手には新開の手の温度が残っている。
夕焼け空を見上げて、赤橙色の髪を想った。

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