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あたまが砂糖でいっぱい




「なぁ、名前先生って五条先生と付き合ってんの?」

一年生との授業中、名前は虎杖からそんな質問を受けた。驚いて持っていた呪具を落としてしまった名前は、目を丸くして虎杖を見つめる。

「えっ、どこからそんな発想が?」
「どこからって、皆噂してるけど。五条先生と名前先生が付き合ってるって」
「の、野薔薇ちゃんまで。どうしてそう思ったのか知らないけど、私と五条さんはただの先輩と後輩の関係。噂は嘘だよ」

慌てて否定する名前をじとっと怪しむ目で見る虎杖と釘崎。伏黒はいたってどうでもいいような顔をしているが、耳だけは三人に向けている。
実際名前と五条の間柄は高専の中では有名で、二人が付き合っているという噂は学長を除いてほぼ全員知っているのだ。

「五条先生と名前先生よく一緒にいるじゃん。学校内でよく見かけるよ」
「虎杖くん、言ったでしょ。私と五条さんは何もないって。一緒にいるのは、私が五条さんの手伝いをしてるからだよ」
「いーや、女の勘が二人は付き合ってるって言ってる」
「なら野薔薇ちゃん。女の勘をもっと磨いた方がいいよ」

いやあんたの方が勘を磨いた方がいいわよ、と釘崎は頭で思っても口には出さなかった。名前のことを先生として認めているようだ。
むすっとした釘崎はふと隣にいる伏黒に視線を寄越す。

「ちょっと伏黒。なんとか言ったらどうなのよ。あんただって噂聞いてるでしょ」
「俺はどうでもいいけど。ただ五条先生は言ってましたよ。彼女にするなら名前先生が一番だって」
「......はぁ?!なんてこと生徒に植え付けてるのよ!純粋な生徒は真に受けるじゃない!五条さんの馬鹿!」

なんてことを言ってくれるんだあの人は。おかげで生徒たちに勘違いされてるじゃないか。
一年生の発言を聞き、五条に怒りを向けた名前はこの場にいない五条にぶつけるように呪具を振り回す。

「ちょっと、そんなに振り回したら危ないじゃない」
「うるさいわね。私は今、五条さんに怒ってるの!私は真面目に教師生活を送りたかったのに!」
「名前先生待って!そんな力いっぱい振り回したら危なっ、わっ!」
「うるさーい!!」

釘崎と虎杖の忠告も聞かず、呪具をぶんぶんと力任せに振り回す名前に、三人は避難するのに精一杯だ。
遠く離れた先、名前を見守る三人は思った。五条の知り合いだけあって、名前もイカれていると。





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