(今朝お別れしたばかりだけど、寝坊に引き続きこの話もネタになる・・・と信じたい。後で友達に電話しよ。生きてたら)
ゆっくりと辺りを伺いながら進みつつ、ぼんやりと考える。
電車を出て目にした光景は、にわかに理解できない物だった。
使用していたはずの地下鉄。開きっぱなしの扉を出て改めて自分が乗っていた電車を見ればそれは到底現役とは言えない車両。
まさか事件に巻き込まれたのだろうか、なんて現実味のない考えに嫌気が差す。
ドラマやアニメに出てくるような事件が自分の身に降りかかるなんて、考えただけでもぞっとする。けれど、そうでもなければこの状況はおかしい。
事件は話の肴。フィクションは娯楽で十分。所詮ひとごと。自分の世界に深淵はいらない。
そう考えていた自分にとってこの状況はかなり笑えない。
携帯の灯りを頼りにゆっくりと辺りを警戒しながら進む。
自然とこんな状況になった、なんて事はあり得ないだろう。
きっと何かの原因。人為的な要因がある筈だ。
けれどその目的は?
自分が眠ってしまう前。電車の中には自分以外にも大勢の人が居た。
なぜ自分だけがここにいる?
あの場に居た人たちはどうなった?
この状況の目撃者は?
(ありえない・・・不幸だ理不尽だ)
圏外を示したままの携帯を見て、小さく溜息。
電話もマップ機能も使えない。
汚れた排水の匂いが鼻につく。
一つだけ分かるのは、ここが地下だという事。
天井にマンホールを2つ程確認していたが溶接されていた。
デストラップなんてないと信じたいが、この状況でそこまで楽観的にもなれない。
頭の中で先日見たアニメの一場面。
こんな風に地下に隔離された少女がトラバサミに引っかかる場面が再生されて鳥肌が立った。
(んな笑えない状況ごめんだっつーの)
苦笑しながら天井、床を注意深く確認。
そしてゆっくりと前方を見つめる。
地上からの明かりが差し込んでいる“出口”であろうそこ。
ほっとした途端にギロチンなんてごめんだと笑いながら、その場所を目指した。




prevnext





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -