とある円卓決議会 | ナノ


「暇だ」


輝かんばかりの青玉色の長髪を靡かせながら、一人の青年がそう呟いた。円卓状のちゃぶ台にうつ伏せに寄りかかり、口を尖らせている。
その様を、肩越しに見た青年は紅水晶の瞳を半眼にして、鼻でせせら笑った。


「さっきも聞いたぞ。ボキャブラリーが少ないな、馬鹿垂れ」
「うるせー。だって親父も居ねーし、ティナもいねーし。からかえるのがお前くらいしか居ないんだもん」
「誰がからかわれてやるか。だったら自分の住処にでも帰ってろ」
「パルパルのいけず」
「パルパル呼ぶな」


パルパル、もといパルキアは未だ後ろで喚く双子にうんざりしつつ、読みかけだった本に再び目を通し始めた。



創造主曰く。
世界というのは放っておけば、少しづつ荒れ、乱れ、ある程度定められた道からも逸れていく物らしい。
そのままにしておけば万物の理さえも歪み、狂っていくのだとか。


だからそうなる前に。創造主を筆頭に、神々になぞられし者達で世界を修正していくこととなった。
いらぬと判定されれば、その物は世から一変残さず消え去り、必要だとされれば一瞬にて蘇らされる。
それを定め、決議する場が、この円卓状ちゃぶ台を中心とした本間六畳程の世界である。


昔はこの決議に名があったらしいが長ったらしい故に、いつの間にか消え去っていた。今は通称「円卓」。


「見たままと言えば見たままだな」
「仕方ねえって。それ以外にしようもんならまた長くなっちまうだろーし」
「…お前、もっとちゃきちゃき喋れないのか。曲がりなりにも神を語れるものとしては」
「無理。ってかお前かっちりし過ぎなんじゃないの?もう少し緩くいけば?文句言われないんだし」


軽く笑って、ちゃぶ台から体を起こしたのが、時を司りし者、ディアルガ。
それを溜め息で流したのが、空間を司りし者、パルキア。
性格、見かけ、対照的な二人だが、彼等は創造主によって産み出された双子だ。


ディアルガは、つれない双子に小さく舌打ちをし、ふわりとこの六畳の世界から消えた。ほんの一瞬。
再び姿を現した彼の手にはどこから持ち出して来たのか、分厚い漫画本。それを片手に遠慮なくどすんと世界へ横たわった。


「親父は帰ってこないし、ティナは居ないし、つまんねえの」


六畳間にそれなりに高い身長の男が寝ていると、一気に狭くなる。
意にも返していない双子に、パルキアの口端がひくりと苛立ちに歪んだ。


「…背にお前の足が当たる」
「御免ねー?脚長いもんで」


ぶちん。擬音を当てるとするならば、きっとこうであろう。
パルキアは静かに立ち上がると、手にしていた本でディアルガの顔面を強打する。


「おま、―――っにすんだよ!」
「邪魔だと言ってるんだ、馬鹿!」
「喧嘩は駄目だよー」
「うるっせ、………親父」
「二人共目を離すとすぐにそれだからねー。ほら、御土産買って来たから、仲良く二人で食べなさい」


場を打ち壊す、にこやかな声の主は、この世の創造主。名をアルセウスと言い、双子の父親でもある。
真珠色の不思議な光沢を放つ髪が、六畳間の世界にゆらゆら光る。


「美味しいおせんべいがあるってセレビィちゃんから聞いてね?買って来てみたんだけど、口に合うかなあ?あ、おかきもあるよ。好きな方を食べなさい、ほら」
「……」
「どっちも同じようなもんじゃねえか」
「もう、美味しければどちらでも良いじゃないか」


ほらほら、と勧める父親に、仕方なしに菓子を頬張り、準備されていた番茶を啜る。


のほん、と幸せそうな笑みを浮かべる父親の横で、双子は歪んだ苦笑を顔に張り付けている。


「…何の為に俺らって集まったんだっけか」
「少なくとも菓子を食う為じゃない」
「…だよなぁ」
「ほらどんどん食べて!実は美味しいロールケーキのお店が…―――」


こうして、とある回の円卓決議は終わっていった。
…その後反転世界の長女から三人そろってこってり絞られたとか絞られなかったとか。



fin...?





>consorte、bandaとは全くの無関係なポケ擬文でした。
ぐだぐだで本当にすいません。だって脈絡なく、そしてネタもなく(殴)
書きたくなったから書いた。欲望に忠実、それも時には良いですよね?←
…計画って必要だわ(当たり前)
お三方…というか、神ポケさん達の頭の色は全部宝石から取ってみました。
ディア(青玉→サファイア)、パル(紅水晶→ローズクォーツ)、パパ(真珠…はまんまですね)と言った具合です。
セレビィとか、ギラティナ出したかった…。
続きがもし出来ましたら、その時もお付き合い下さればと思います。


100422



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