BLEACH | ナノ
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ガキィンと金属と何かがかち合う、鈍い鈍い――――音がした。

「危ない奴っちゃなァ」
「えと、ひ―――――ひら…ひらめくん?」
「平子やボケェ!自分ンクラスの転校生の名前くらい覚えときや!ホンマに…」

こんな、日本刀片手によくわからない化け物を受け止めてしまうようなそんな知り合い、私にはいない。
平子くんは手に持つ“それ”を肩に担ぎ直して目の前から消えた。ちょお、後ろ下がっとき。と私に残した瞬間の事だ。ゲームとかで良くある瞬間移動またはテレポートとかそんな単語が頭に浮かんだ。

「じゅ、銃刀法違反?」
「他に言うん事あるやろが、フツー」
「あ、あー…ありがとう?」

大混乱真っ只中の頭から引っ張り出したぎこちないお礼の言葉。
平子くんが目の前から姿を消したのはほんの数十秒前。でもどういう訳か彼は私の目の前に立っている。一体どうなってるんだ。軽くショート寸前の頭で何とか言葉にしたのは法律、彼の言う通り他にもっと言う事があるだろうと突っ込まれても何も言い返せない。ちなみにさっきまで手に持っていた“それ”は既に鞘に納めら先程まで眩しく光っていた鉄の塊はもうそこにはなかった。だけど、否が応でもそこに視線を向けてしまうのは許して欲しい。

「一護の奴に言われてたやろが、夜は出歩くなて」

何でそれを知ってるの?とは言えなかった。

少しキツメの言葉とこちらを見下ろす彼の視線は鋭く、とてもじゃないが数日前に飄々とツッコミ所満載の自己紹介をした人とは思えない。苦し紛れとは言え弁解させてもらうとすれば買い忘れがあったと言えば「そない、調味料ばっか無くなるかいな。阿呆」私の弁解はアッサリと一蹴りされてしまう。
さっきまではピシッと伸びていた背筋が丸まり、空いてる手は気怠げにポケットに突っ込まれ私の横を通り過ぎて行く。目の前で起きた事があまりにも一瞬でその癖、処理量が見合ってなくて平子くんの遠ざかる背を見送っていればピタリと彼の足が止まる。

「何ボサッとしてんねん、はよ来ィや!」
「………私?」
「ハァ?自分以外誰がおんねんや、送ったる言うとるやろが」

まだ死にたないやろ?と言われすぐに平子くんの少し後ろに並んだ。



(おはようさん茉霞ちゃん!)
(…は?)
(何やのんその冷たい反応は!は―――、昨日一緒に帰った中ちゅうのに寂しいわァ)

あれ、もしかして夢だった?とか思ってたら夢ちゃうわァ、ボケ。と怒られた。