刀剣乱舞 | ナノ
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「手紙くらいはちゃんと書きなさいよ」

とは言ったものの。彼がまともな手紙を寄こすかと言われればかなり怪しい。今更ながら自分の選択が早まった感が否めない。

「あ、いたいたー!」
「主さーん!」

自問自答の最中、来派二振りの声で現実に呼び戻された。軽く偏頭痛が起きそうな頭を押さえて二振りに向き直れば蛍の手に何やらシンプルな紙が…。

「国行から手紙が来たぜ!」
「俺たちも一緒に見ていいよね!」

はい、と渡された封のされた紙。裏には”明石国行”彼の名前のみ。間違いなく彼からの手紙だ。こう言ってはなんだが本当に送って来るとは、と言うのが素直な感想。

「それはいいけど、何だろこの…過度な期待をしてはダメな感じ」
「まぁまぁ!ほら、あの国行が自分から修行に行くって言ったんなら信じてやろうぜ!」
「そうそう、俺絶対国行は修行行かないと思ってたし」

…何気にひどいな蛍。そして自称保護者しっかりしろ、言われてんぞ。とりあえず二振りに急かされ手紙の封を渋々、恐る恐る切った。

”主はんへ”

手紙の冒頭は当然ながらこちらの宛名から始まった。

”自分、今どこに居ると思います?”

知るか!それを報告するのがこの手紙でしょうが。

”そうそう、明石明石。なにせ自分の名前の由来ですからなぁ。”


「「「………」」」

思わずもう一度上から下まで見直したが内容はたったの二行のみで締められていた。いや、もはや締まってすらいない。何の手紙だこれ!

「みじかっ!!何この手紙破っていいって事!?結局明石が明石に居る事しかわかんなかったじゃん!!」
「主さん落ち着けって!!」
「そうだよ、手紙書いてきただけでも褒めてあげてっ」

今にも破かん勢いの腕を必死で宥める愛染と蛍。最終的に手紙は蛍の腕に収まった。




―――後日。

「お、蛍何してんだー?」
「しーっ!大声出したらダメだよ」
「ん?」

主である彼女に用があり足を運べば先客がいるではないか。思わず声を掛ければ静かに窘められ状況を把握できないと思いつつ声を抑え、そっと彼女の部屋の襖を開け覗いてみれば。

「…まぁ、明石らしいと言えばらしいけどさ」

「何だかんだ主さん。国行からの手紙大事に仕舞っては出して読み返してるんだよね」

「とは言え二行ってやっぱふざけてるよね!?」


「偶に怒りを募らせてるけど」
「…あれ、いつか本当に破きそうじゃね?」



まぁ、実際概ね予想はしてました。とは言え二行って!でも彼らしいと言えば彼らしいと納得もしてしまった。