「あれ、主どっか行くの？」
「買い物」
「俺も行きたい！」
「いいけど、面白くないよ」

***

「はーっ、さっむ！！」
「寒いなら無理して着いてこなくてよかったのに」
「俺が行きたかったからいーの！」
「手袋は？去年あげたでしょ」
「持ってきてない」
「え、なんで」
「………」
「なぜ、黙る」
「忘れたの！ねぇ、代わりに手つなごー」
「代わりになるかなぁ、私の手も冷たいよ」
「ほら、手貸して」
「はいはい」
「手ちっさ！」
「嫌ならお離しください」
「もー！何でそうなるのさ。でも手は暖かいよ」
「じゃあ、心が冷たいってことだ」
「ナニソレ」
「手が暖かい人は心が冷たくて手の冷たい人は心があったかいって聞いたことがある」
「へぇー」
「興味無さそうだね」
「だって俺は主と手繋げれたらそれでいいし」
「………！っ」
「何、照れた？」
「うっさい」
「これで握り返してくれたら言うことないんだけどなぁ」
「絶対握り返さない」
「ケチー」


(加州、手袋絶対わざと持ってこなかったでしょ)
(うん、主と手繋ぎたかっただけだしね)
(…っ)
(あ、また照れた。主、かーわいっ！ね、抱きしめていい？)
(絶対だめ)
(えー！！！)