五条
「先生のこれ、えっと無限?だっけ便利だよね」
「んー?」
学校の中庭にて、先生との間に存在する不思議な空間を指で押してみる。
ちなみに二年生&伏黒くんは任務のためで払ってるので毎度の事ながら私は高専でお留守番。
なぜか今日は先生もいた。
「お、今度は触れた」
多分、今無限を突っついてる最中。先生が術式を解いたことで突いていた指が先生の二の腕あたりの衣服に触れた。
「そう?僕は繭の力だって便利だと思うけどね、戦闘にはぜーんぜん向いてないけど」
「地味にコンプレックス抉るのやめてくれる?」
二年生、は関係ないっか。
呪術高専にいながら等級を持たないわたしは、世間一般的に言うなら落ちこぼれってやつだ。
「ま、゛向いてない゛って言うよりかは゛向けてない゛ってのが正しいかな?」
クイッといつも先生の目元を覆っている黒い布。それを指で上げそこから覗く蒼眼が私を映す。
六眼だっけ。
「先生、本当に日本人?」
「生まれも育ちも日本ですー!」
銀髪、蒼眼、長身ってどこの漫画の主人公だ。そんな日本人絶対、この先生だけに違いない。
「こらこら、話を茶化さない」
「いや、いつも先生がやってる事だよ」
コツンと軽くおデコを小突かれた。
そこで丁度ポケットに入れてた携帯が震えたので先生に構わず通話ボタンを押した。
「あ、もしもーし。三輪?久しぶりー、そうそうこの間歌姫先生とご飯行ったんだよ。え、うーん、今?隣にセンセーがいるよ。何、変わろうか?なんてなんて?いや、ちょっと落ち着いて語彙語彙。何言ってるか全然わかんないから。はい、先生パス」
「もしもーし呪術界、最強呪術師の五条悟先生ですよー」
「うわ、噛みそう」
「って、電話切れてるけど」
「え、笑うってかウケる」
あぁ、テンパって切ったな三輪のやつ。
「何お前、京都校と交友関係広くない?」
「なんか気付いたら。でも連絡先あるの歌姫先生と三輪くらいだよ」
歌姫先生とは先生の話(主に悪口)で意気投合して三輪とは価値観的なものが統合して、って感じ。あーそう言えば初対面で好きなタイプを聞いてくる若干?大分ぶっ飛んだ人がいた気がする。
「俺は尻(ケツ)と身長(タッパ)のデカい女以外に興味はない、諦めな」
「いや、それ女の私に言われても。どうしろと」
諦めなって、え、何この人怖い。会話出来る?
すごいキメ顔で言われて本気でドン引いた。尻はわかったけどタッパが何か分からず携帯で検索したくらいに意味がわかんなかった。
「え、何その話僕聞いてないー」
「あまりにもインパクトありすぎて今の今まで吹っ飛んでました」
結局名前は聞いてない、ただし顔は嫌という程脳裏に焼き付いてる。主にトラウマ的な意味で。
(で、何の話してましたっけ)
(すんごい今更ー)