冷菓

屍を踏み潰しては 高笑いひとつ消えた
見慣れた姿は既に動かなくなって
すっかり冷えた横顔の憎らしさよ

ふれた声で貪り合って
あちこちに傷を付け遊戯ぶ
引き擦り回して無くした物など
端から持ち合わせちゃなかった

知っていたさ お前が吐いた嘘だって
知ってるだろう お前は嘘が下手だと
互いに少し違っていた
それだけ


願うなら今一度 熱を交わしたかったけれど
叶うならもう一度 壊し合ってしまうだろう

この手が奪った熱の蠢きが
今も皮膚の下を這っている


知っていたさ おれが付けた傷の深さも
知ってるだろう おれの胸の内など

嗚呼 本当だよ 今更
疑うなんて野暮だらう
チャチなまじないで解ける程
安い想いじゃないって事さ

嗚呼 本当だよ
今になって思い出すのは


二度は言わせるなよ
おれはお前を愛していた





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