予測不可能なキミ-epilogue-
一途に思うこと
▼ ▲ ▼
「天童と2年から同じクラスでしょ?アイツ、ずっと名前のこと気になってたんだって。」
「…本当に?」
「うん。本人が言ってたよ。名前に好きって言ったときに私に言いに来たんだけど…」
数ヶ月前の話。
花が走っている途中、天童を見つけ声をかけたところ彼がその横を走りながら言った。
―俺ね、ずっと前から名前ちゃんのこと好きだったんだよ?でもさ、一途に彼氏想ってたデショ?だから、自分の気持ちに気づかないフリしてた。―
―じゃあ何であんたは一途に名前だけ想ってあげてこなかったのよ?ずーっと絶え間なく彼女いたじゃない。―
―恋が、わからなかったんだよ。―
それを思い出した花はふっと静かに笑う。
「天童に、恋を教えたのは、名前だね。」
「…そうなんだ。」
花と仲のいい友人として見られてるとずっと思っていた。
でも、天童は違ったんだ。
「意外に、一途なんだね。」
「名前だけにね。」
ニヤリと不敵に笑う花を見て、名前は「そんなのまだわからないよ?」と言う。
「っとか言って〜アイツのこと大好きなくせに。」
「…。」
何も言えない名前は黙ったまま花とは反対へ視線を逸らした。
「天童には、話したのか?あのこと。」
名前の視線の先にいた相楽がふと疑問に思ったことを問いかけた。
彼女は少し、あのこと?と考えたが、相楽とのことだ、一つしかなかった。
「牛島くんにバラされた。そして牛島くんが話してくれたらしい。」
「あー。そっか。牛島、中学ん時から名前知ってるもんな。」
牛島は中学は白鳥沢で、男子バレー部で現在と同様、活躍していた。
男子と女子はお互いの試合を見に行くことがあった。
当然、名前のことを牛島はすべて知っている。
「この前なんて“俺にトス上げて!”って天童が…」
「まぁ、体育感覚ならいいんじゃないか?」
「ダメ。天童だもん。」
彼氏でもうちのレギュラーだ。
おふざけでできるものではないと名前は思っている。
「さすが元バレー部。」
「よくわかってくれていいじゃない、天童よ。」
相楽は苦笑いし、花は天童が聞けば「嬉しくないから!」と言いそうな言葉を憎たらしい顔で言った。
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