予測不可能なキミ-epilogue-
流れ星
▼ ▲ ▼
「あ!名前!遅いじゃん!」
「ごめんごめん。青葉城西のスタンド行っちゃってて…」
白鳥沢のスタンドについた二人は花が手を振っているところへ駆け寄った。
花は相楽の姿を見て「あ、奏生くんじゃん。」と柔らかい表情を見せる。
「どうも。」
「天童の時とは大違いだね。」
「アイツはまだ認めてないからね!」
ふんと花は腕を組み、コート上にいる本人を見る。
相楽は「俺は認められてたのか。」と呟くように名前に言う。
名前は「そうみたいだね。」と苦笑いした。
花に認められる日は来るのかな…天童。
そう思いながら、彼の姿を見る。
ネット前、牛島がサーブを打つ。
天童がボールがあげられるより先に動くのがわかる。
ブロックに飛んでいる彼の姿を見て、思い出すのは最近見た面白い光景。
「ねぇ名前…って…何笑ってんの?」
肩を叩いた花が目にしたのは、名前が笑っている姿。
「いや…この前ね、練習見に行ったんだけど…その時に、必殺技つくって天童がしてたの思い出して…それが面白くて。」
「へぇ〜どんな?」
「“流星と書いてシューティング・スター”らしいよ。」
「何ソレ。」
花は口にはしないが、何やってんだアイツ、と顔で言っている。
「実際ブロックしてるの見たんだけど…こう流れるようなブロックでね?確かに流れ星っぽいんだけど…無意味だったんだよね。」
「その姿がよっぽど面白かったのね。」
「そう。」
クスクス笑う名前を見て花は「私も見てみたいかも。」と少し興味を持った。
「で、その時思った。」
「ん?」
「天童は、“流れ星っぽい”って。」
「?天童が?あー、逃げ足速いから。」
花の言葉に笑ったのは聞いていたらしい相楽だった。
「逃げ足速いのを知ってるのは花だけだよ…」
「あ、そうだった。」
名前に「じゃあどのへんが?」と花が問いかける。
名前はコート上にいる天童を見て口角を上げる。
「予測不可能なところ。ほら、流れ星もいつ流れるかわからないでしょ?」
「うん。」と頷く花。
「天童の行動も、気持ちも、今も、私には全く予測できないし、予測もしなかったことだから…だから、流れ星っぽいなって。」
その時、コート上では天童がスパイクを床へ叩き落した。
周りの応援している生徒から歓声が上がる。
「まさかバレーしてる人と付き合うなんて思ってもいなかったし、それが天童だなんてさらに思っていなかった。」
「でも、天童は名前のことずっと好きだったんだよ?」
「え?」
花の言葉を、一瞬疑った。
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