遠い存在が近くなる瞬間
必殺技
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白鳥沢学園高等部の体育館。
男子バレー部がインハイを目前に、練習に励んでいた。
「俺!必殺技考えた!」
「へぇ〜そうなんですか。」
「どんなですか?」
そこには、もう監督に怒られた後の天童の姿はなく、ルンルンないつもの天童の姿があった。
ダルそうに返す白布と、興味なさげに問いかける川西。
遠くから見ていた大平が「優しい後輩だな。」と微笑ましく見ていた。
「その名も!流星と書いてシューティング・スター!!」
「…どこで使うんですか?」
再び川西が興味なさそうに問いかける。
「俺の十八番ブロックに決まってんダロ!」
「「…。」」
川西は何とも言えない顔をし、その奥で大平はにこにことしている。
その光景を見ている者がいた。
「…。」
こっそり見に来たけど…やっぱり数人は見ている子いるんだね。
天童のファンがいないことを願います。
できるだけ近くで見たいものだが、今朝の今であるためあまり大きな動きをしないようにと名前は入口近くで見ることにした。
「紅白戦かな…」
両コートに入る部員たち。
端ではしっかりコーチと監督がいて見ている。
「いくよん。」
そう言った天童が行ったブロックは相手のスパイカーとは逆方向へ流れるようにブロック。
「…何アレ…。」
クスリと笑ってしまった名前。
「覚ィイイ!!!」
体育館いっぱいに、監督の怒号が響いた。
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