shootingStar[完結] | ナノ
線のその向こう側
表情と言動

▼ ▲ ▼


電話の向こうで盛大に笑う天童の声が耳に響く。


『若利くん〜相手は名前ちゃんだよ。』と飄々と答えた。


名前は「牛島くん、ごめん。天童が…」と母親のような気持ちになって謝罪の言葉を述べた。


『苗字がなぜ謝る?』

『俺に代わって謝ってくれたんだよ〜たぶん。』


『ということで幽霊じゃなく、名前ちゃんと喋ってた!』としっかり牛島に訂正する天童。

牛島は『そうか。』と言うと『天童と苗字は、コレなのか?』と電話越しではわからない会話を繰り広げる。


天童はそれを見て再び吹いた。


「ちょ…そんなの誰に教えてもらったの?!俺そんなこと教えてないヨ?!」

「瀬見だ。」

「英太くんかっ!!」


ぶひゃひゃと腹を抱えて笑う天童を見て牛島は首を傾げる。


「で、どうなんだ?実際。」

「実際って…まぁ、否定はしないネ。」


笑い過ぎて目尻に溜まった涙を拭う天童。


「肯定はするのか。」

「肯定…う〜ん…ぶっくく…」


真面目な牛島が言うから、面白い。
天童は表情と言動の合わない面白さに笑い続ける。


「肯定はするヨ。」


その言葉だけ、クリアに聞こえた名前は「何?何の話?」と一人呟く。
牛島は「わかった。瀬見に言っておく。」と告げ、天童の部屋を後にした。


『ハァ…若利くん面白い…。』

「楽しいそうだねぇ〜」


何分、二人の会話を聞いていたのだろうか。
名前は落ち着いた天童に少し拗ねてみた。


『アレ?アレレ〜?拗ねちゃったのかな?名前ちゃんは〜?』

「だってせっかく電話くれたのに牛島くんと喋って…」

『素直だね。可愛いね〜』


目を瞑って花を飛ばす天童。
名前は可愛いと言われて黙り込む。


『ねぇ、名前ちゃん。』

「ん?」


数秒の沈黙の後、天童が真剣な声のトーンで彼女に言った。


『付き合おっか。』


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