関りは避けられず
授業
▼ ▲ ▼
練習が開始され、周りにはあちらこちらからボールが転がってくる。
そんな状況の中、名前は女子バレー部の花にサーブを放った。
お、うまい。と思った花。
サーブは綺麗に決まり、それをレシーブした。
しっかりセッター前に返されたボールを見て名前は、さすが…としか言えなかった。
「いくよー!」
花の声を聞き、手を挙げる名前。
花からの柔めのサーブが放たれた。
それをここぞと言わんばかりに体勢を低くして、セッター前にしっかり返球した。
花は名前に驚きを隠せずにいた。
「ちょ…名前。」
「ん?」
「バレーやってたの?いや、やってたでしょ。いつ?」
「えっと…」
さすが推薦で来た花の目には敵わないな、と名前は苦笑いをした。
「終わったら、話すね。」
そう言った名前に、花は従った。
その頃、天童は瀬見とシュートの練習をしていた。
男子は第一体育館でバスケ。
跳ね返って来たボールを見て「ねぇー英太くん。バスケのボールってなんでこんなに重いの?こんなの当たったら痛いでしょーよ。」と話す。
瀬見は真面目にシュートを放ち、綺麗に決まるシュート。
オォ。と口を開ける天童に「まぁ、バレーみたいにアタック打つスポーツじゃねぇからな。」と真面目に返す。
「真面目かよ。」
「天童と違ってな。」
フーン、と鼻を鳴らすとボールをコロコロ転がして遊ぶ天童。
瀬見のシュートする姿を見て「お前はバスケ部か。」と言いたくなるような綺麗なフォームを見せる。
天童がげんなりしていると、瀬見が振り返った。
「天童、真面目にやったらどうなんだ?実は上手いくせに。」
「英太くん。よくわかってんじゃん。」
「上手いからしないんだよ〜」と遂に床に座り込んだ天童。
「苗字?だっけ?」
「名前ちゃん?」
「そー。近くで見るとホント可愛いよな。」
瀬見の何度目かわからないシュートが決まると、天童がボールを持って立ち上がった。
「英太くんにはあげないよ〜?」
「…じゃあ誰にならあげるんだよ。」
「誰にもあげないけどネ。」
天童から放たれたボールがスパッと気持ちのいい音で決まった。
瀬見は「やる気になったのか?」とにやにやする。
天童は「ん〜」と目を瞑ると、うっとりした目をして
「名前ちゃん何やってるのかなぁ〜?」
と名前のことを考えていた。
瀬見は苦笑いし、「ほら、試合だぞ。」と召集のかかった場所をさした。
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