夜空に星が瞬く-prologe-
白鳥沢学園
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白鳥沢学園。
中高一貫校で進学校。
一般で受験しても難関校と言われている。
その学校に、何の夢も持っていなかった小学生の自分が中学受験をした。
親に何も言われず、聞かず、塾に行き、元々嫌いではなかった勉強を毎日数時間する。
無事、合格した。
2クラス程度の100人にも満たない入学者。
このメンバーはおそらく高等部最後まで共に歩んでいく人達だ。
中学に入って、小学校の時と大きく違う雰囲気を感じた。
“真面目さ”が漂っていた。
私とは、真逆の人たちがいると思った。
もっと、笑い合いたいし、静まり返った授業じゃなくて笑いのある授業がしたい。
だから、勉強が苦じゃなかったんだとさえ思った。
周りの友達はみんな勉強ができて…学年が上がるにつれ、追いついて行くことに必死になっていった。
親は平均点より少し上だった私の成績が下がりつつあることに不満を抱いていた。
その時、初めて聞いた。
なぜ白鳥沢に入学させたのか、と。
母は“将来の幅が、広がるからよ”と答えた。
高等部に入学した。
クラスがとてもじゃないほどに増えた。
中等部のクラスは別だと思っていたけれど…それは1年の時だけだった。
2年になって、外部入学と内部進学とスポーツ特待生が一緒になった。
同じクラスにはとびきり目立つ元気な男がいた。
どうやらバレー部、しかもスポーツ特待生。
彼がいるおかげか、外部入学生のおかげか、白鳥沢に入って、初めてクラスが明るいと感じた。
学校が楽しいと思った。
彼は、天童覚。
逆立った毛と大きな目、手足が長く細い体が特徴。
気さくな彼はクラスのムードメーカー的存在で誰にでも話しかける。
会話はするけど、そこまで深い仲にはならないような人物だと思った。
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