気持ちの傾向は強く
魅力的
▼ ▲ ▼
「あ、花ちゃん。おはよん〜」
「おはよ…」
朝練から教室に来た様子の花が教室に入ってきた。
天童が丁度見ていたらしく声をかける。
天童の様子を見た花は「やけに上機嫌ねぇ。なにかいいことあったの?」と声をかける。
それにびっくりするのは名前だ。
天童をちらっと見た名前。
彼は「ん〜べつにぃ〜?」とはぐらかす。
その対応を見てホッと胸を撫でおろした束の間…
「どーせ名前でしょ?」
「!!」
天童は「オ?」と花を見る。
名前はびくっと肩を揺らした。
「花ちゃんは鋭いねぇ〜」
間違ってはないよ。と言った天童に名前は「バカ…」と小さく呟いた。
「天童に聞くより前に…」
そう言って名前に視線を向けた花。
ゆっくり知らんぷりをする名前。
「名前に聞こうかなぁ〜?」
「うぅ…」
この時は天童のわかりやすい姿に腹を立てた。
「天童の粗相の悪さは知ってるでしょ?」
「…わかってるよ?」
「じゃあなんで天童なの?」
「…魅力的だから?」
「え?バレーの話?」
花が登校してきて、すぐのことだった。
名前は今朝の一件(キスは言っていない)を話した。
自分が天童に好きだと伝えたこと。
「ううん。バレーじゃなくて…予想外のこと、してくれるから。あと、何考えてるのかわからないところも嫌いじゃないんだよね。」
「わからなくもないんだけどさ…いくら飽きない男がいいからって、スリルを求めちゃ危ないよ?」
「しかもバレー部の天童覚だからね?」と付け加えられた。
バレー部の、天童覚…。
その言葉に、きのう体育館で見た彼を思い出す。
かっこよかったなぁ…。
ぼーっと頬をほんのり赤くする彼女を見た花は、「こりゃ何言ってもダメだな。」と苦笑いをしていた。
「とにかく!何かされたらすぐ私にいうこと!いい?天童!あんた浮気したら許さないからね。」
「え?俺、浮気しないよ?いつから浮気キャラになったの?」
「あんたの粗相の悪さのあまりよ。」
「クラスでの俺のイメージガタ落ちになるでしょ〜」
「むしろなれ。」
「…なんで花ちゃんは俺をそんなに毛嫌いするの?」
クラス恒例の花と天童の言い合いが始まると、自然といつもの教室に戻っていった。
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