好きな人は大切に
遠慮
▼ ▲ ▼
「あ、今“意外”とか思ったでしょ。」
「え、いや…」
「…まぁいいや。」
名前の首筋を見てご機嫌な天童。
「それでならどこ歩いてもいいよ?」
「…拘束…。」
「え?なんて?」
首筋を手で隠しながら視線を落とす名前。
天童はゆっくりその場を立ち上がると座り込む彼女に話す。
「俺、名前ちゃんに好きとか言われると、手出したくなる…だから、あぁ言った。」
顔を上げた名前から視線を逸らす天童。
「でも、ゴメンね?」
ちゃんと、伝えなくて。
そういう意味だと、名前は思い頷く。
「それだけはいくら大切な名前ちゃんでも無理みたいだからさ〜」
「……え?」
話が、噛み合っていない。
天童の話はまた違う話だ、と名前は気づく。
「て、天童?何の話…?」
「“もうエンリョしないよ”って話ー。」
…遠慮?
じゃあ俺部活行くね。と名前に手を振る天童。
乱れたままの制服姿のまま名前はその場で首を傾げた。
「…何、どういうこと?」
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