shootingStar【sequel】 | ナノ
番外編
夢抱く妄想の真実

▼ ▲ ▼


天童覚は、予想もしないことを起こす男である。

そんな噂が、今も絶えない。
名前と付き合った現在でも、不思議な空気を醸し出す彼のことを好きな物好きも多い。
そんな物好きが、そんな噂をするのだ。


予想もしない、甘い事とか。
されてみたい…願望。


「名前ちゃーん!きょうも可愛いネッ」
「…暑い…」


ぎゅっと名前の背後から抱きつく天童に、そばにいた花が何ともタイミング良くボソリと呟く。
それを聞いたら天童が「ん?なんて?」と花を見た。


「何も言ってないわよ。」
「あっ、そいやさぁ?最近何かオレの話ししてる?」
「してないしてない。キョーミないもん。」
「オレさ?花ちゃんが言うとどーも嘘っぽく聞こえちゃうんダヨネ〜なんで?」
「ポジティブな思考してるから。」
「こら、名前。そこは何がなんでも否定をして欲しかったわ。」


花を見つめた名前が「ごめん。」と呟く。
天童は「なんか最近オレの変な噂してるって聞いた。」と二人を割って話す。
それを聞いた花が「それ私達が発端じゃないわよ。」と天童を睨む。

首を傾げる天童。


「エ?そうなの?」
「そうなの。」
「天童がモテてる証だと思う。」
「名前ちゃんはそれを見過ごしてんの?!」
「面白いからよ。こんな天童に夢抱く乙女の話は。」


憎たらしい顔をして花が言う。
天童が「花ちゃん性格悪ッ」と言えば「アンタに言われたくない。」と花は返した。


「でも、『後ろからハグされたい』はわかる。」
「…え?」
「ドキドキするし…」


頬を赤くする名前を見て天童が言う。


「もっとドキドキすることしてるっしょ?」
「うん…でもそれは…」
「それは?」
「…っ…」


言いにくそうにする名前に首を傾げる天童。
意を決したように名前は顔を上げた。


「それは…彼女の特権でしょ?妄想なんかより…実際、天童がしてくることの方が、よっぽどドキドキする。」


妄想なんか、遥か超えてくる彼の予想外な行動は、実際のところ、彼女をドキドキさせていた。


「…キュンってした。今。オレ。」
「常にしてんでしょ。」
「彼女っぽいネ。」
「彼女でしょーが。」


二人の会話に、相変わらず微笑む名前がそこにはいた。


-END-

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